電源回路は動作を確認済みなので、回路の他の箇所を中心に配線チェック後、+Bへダミー抵抗3.5kΩをつけて電源投入し電圧を確認。グリッドDC電圧が設計では76Vなのに50Vと低い?
6B4Gを挿して電源投入、430Ω両端の電圧をチェックしながらVR2を回すが100Ωになっても18Vより上がらない。6B4Gのカソード電流(=プレート電流)は45mAで設計しているので19.4V位にしたい。+Bや+B1も低め。そこでVR2を500Ωに交換し430Ωの電圧を19.4Vに調整。シビアでピッタリの値に調整できない。
回路の電圧を測定した。AC100Vが実測102V程度あるのに回路の電圧は設計より幾分低めに出ている。VR2は調整したら112Ωと113Ωになった。
SP端子にDMMをACレンジにして接続し、RCA端子に指を触れ電圧が上昇するのを確認。動作一発OKだ。
測定器をつないで特性の確認。高域は伸びており-3dB点は72~74kHz。無帰還での歪率5%の出力は1kHzで4.7~5.0Wとなった。利得は多くて43~44倍。DFは2.9~3.1と高い。残留ノイズは0.13~0.14mVと低かった。
Analog Discoveryによる周波数特性。Rchの利得がなぜか多いが高域は200kHzまでよく揃っている。90kHz付近の窪みは何だろう?OPT単体では発生していないのだが。
いちおうクロストーク特性を測定しておこうかと思い、調べてみたら低域と高域で悪化している。こんなに酷いのは久しぶりに見た。原因は低域と高域で異なっていると思われる。これは解析が必要だ。
私は回路的にクロストーク特性を向上させることが音場感の向上に通ずると思っているので、それを重視している。究極はモノアンプだろう。
まず高域クロストークを改善しようと考えた。それはシャーシアースポイントの移動だ。RCA端子のそばから入力ボリュームの近くにアースポイントを設け、そこに各回路のGNDを集中させる。
GND配線を変更中。赤矢印がシャーシアースポイント。
変更完了。
アースポイント変更後のクロストーク特性。見事に高域の悪化が解消した。
今まではボリュームレスとしていたのでRCA端子のそばにシャーシアースポイントを設け、GND配線を集めていたが、ボリュームを入れることでシャーシアースポイントを変更する必要があったのに、そのままにしてしまったのが原因。
次は低域のクロストーク対策に移る。これは+B1電源が通常のπ型フィルターとなっており、低域で出力インピーダンスが上昇することでクロストークの悪化につながっているのではないかと考えた。そこで+B1電源にFETリプルフィルタを採用して低域の出力インピーダンス上昇を解消しようと思う。
+B1の回路変更案。
ちょうど8Pの平ラグがあるので、それに+B1電源回路を乗せた平ラグパターンを作成。
改造した+B1電源基板。
再びクロストーク特性を測定。なんとπ型フィルタよりも悪化してしまったではないか。原因は別のところにある?
それでは信号ショートループを試してみようと思う。カソードから+Bへ100μFのコンデンサを接続する。
変更後のクロストーク特性。低域のクロストークがほぼ解消された。+B1電源はこのままにしておこう。戻すには新たに8Pの平ラグが必要だ。
6B4Gのカソードから+B1に入れている抵抗430Ωを定電流回路にしたら良いのかもしれないが、じつは定電流回路を入れる場所を考えていなかったのであった。
ところで、430Ω両端の電圧をVR2で調整するのがシビアだと書いたけど、500Ωの抵抗値変化が大きいことが原因。そこでVR2と並列に180Ωの抵抗を入れることで変化を小さくしようと考えた。
グラフの青線がVR2単体の抵抗値変化で、VR2と180Ωを並列にすることで傾きが緩やかになる(赤線)のがわかると思う。VR2を最大の500Ωにしても並列抵抗値は132Ωまで上昇するだけで、抵抗値が大きくなるとグリッドDC電圧も上昇しプレート電流が多くなるので、そのリミットになっている。
アンプ部の回路を上記に示す。赤で示したところが今回の変更箇所。結果的にロフチンホワイトの原回路のようになった。C2を削除しても動作するが、とりあえずそのままにしておく。
これで懸念点は解消したので、次回はNFBをかけて特性を測定する予定。
(2023.04.17追記)
カソードバイパスコンデンサC2有り無しで試聴してみた。なお駄耳の私なので信用しないように。
C2を無しとすると線が細くなり女性ボーカルはハスキーに感じる。ちょうど全段差動アンプの音色に似ている。C2有りの場合は潤いが感じられ女性ボーカルには声に艶が乗る。こちらはDEPPの音色に似ている。私の場合はC2有りのほうが好みに思われる。
(追記ここまで)