当初の測定では+Bと+B1の電圧が低めだった。+B1はFETリプルフィルタに変更し、その際に電圧を設計に合わせた。+BはR10を75kΩから51kΩに変更し+Bの電圧を上げた。
再び回路の電圧を測定。AC100V換算で+Bは420V、+B1は111Vとなり、設計時の電圧にほぼ等しくなった。
現状のシャーシ内部。シャーシアースポイントを変更しているのがわかるだろうか。信号ショートループコンデンサは場所に困ってカソードバイパスコンデンサの右横にした。
現状のアンプは無帰還でも良好な特性だが、利得が43倍~44倍と多すぎる。NFBをかけることにして手持ちの抵抗で利得とNFB量を探ってみた。
私のオーディオシステムでは、メインアンプは15倍~20倍の利得としている。これはDACの出力が0.64Vと低いため。この利得に合わせるべくNFB抵抗値を決める。
裸特性が良いので深めのNFBをかけたい。NFB抵抗は1.5kΩとした。NFB量は8.2dBとなる。
LchのNFB有り無しの周波数特性。80kHz付近に小ピークが生じたのでNFB抵抗と並列に位相補正容量を入れる。値を探ったところ、470pFでほぼフラットになることがわかった。
RchのNFB前後の周波数特性。こちらも同様になった。
この位相補正容量は音色に影響があるので、私は千石電商で扱っている東信工業のポリプロピレンフィルムコンデンサにしている。いろんな容量が選べて1個21円。(通販では10個単位)
詳細な特性を測定した。高域-3dB点は130kHzまで伸びた。歪率5%での1kHzにおける出力は5.4W~5.5Wと望外の値が得られた。NFB量は8.2dBと深め。DFは8.0~9.1と十分。残留ノイズは特に低く、オーディオアナライザではLch 40μV、Rch 50μVだった。
クロストーク特性。20Hz~20kHzでは20Hzがリミットして-71dB以下となった。
Lchの歪率特性。低歪みで0.1Wまでは全ての周波数で0.1%より低くなった。拙シングルアンプではこんなに低くなるのは記憶にない。1kHzでの歪率カーブが低いのは歪みの打ち消しのためと思われる。
Rchの歪率特性。こちらも同様で、各周波数でカーブが揃っている。
SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが発振には至らなかった。(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力4Vp-p、200mV/div[プローブ10:1]、20μS/div)
特性的には問題ないことが確認できたので、3階の自室で試聴する。フロントの保護紙を外しているのは、シャーシが熱くなると塗装が柔らかくなり、保護紙の跡が付いてしまうことがあったため。
一聴して清々しい音色に感じた。繊細感や音場感に優れる。スケール感があって迫力十分。なんかもうチューニングが必要とは思えない。何かをいじればもっと良くなるのかもしれないが、現状でもかなり実力はあるとみた。