おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6AR5シングルアンプ・回路図作成

まずは電圧増幅段の設計から。6AU6のEg2=150VにおけるEp-Ip特性図にRL=100kΩのロードラインを引いてみた。動作点はEb=140V、Ip=1.4mA、Eg1=-3.7Vとした。電源電圧はデカップリングCRを省略したいので280Vと高く、Eg2=100Vの特性図ではフィッティングできなかった。

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6AU6のパラメータフィッティングにはLTspiceを使った。当初コンポーネントにpentodeを入れてみたらエラーが出て走らない。入手した6AU6のspiceパラメータはtetrodeでフィッティングしてあるみたい。

 

なお、実際に回路を組んで実験してみないと再現性があるかどうかはわからない。6AU6の1本で6AR5は十分振れることがわかった。

 

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周波数特性。6AR5のCpgがわからないので高域特性はテキトウ。高域-3dBの周波数は80kHzとなったが、おそらくこの高域特性よりは悪くなるだろう。利得は112倍(41dB)だった。

利得の計算をしてみる。電圧増幅段の利得はLTspiceで112倍。6AR5の3結のμは6K6GTと同等とみて6.3。rpは3.6kΩ。OPTの1次インピーダンスは7kΩなので、変圧比は√(7k:8)=29.6:1。

 

総合利得は

112×6.3×7k/(7k+3.6k)÷29.6 = 15.7 [倍]

6dBのNFBでは7.9倍となり、私のオーディオシステムでは低いがまあ大丈夫と思われる。

 

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続いて電源部のLTspiceシミュレーション。2Hの小さなチョークコイルはデザイン上必要だったので入れた。だいたい20秒で定常状態になり、+Bは280Vにフィッティングした。

 

というわけで、作成した回路図を上記に示す。まだミスがあるかもしれない。指定なき抵抗は1/2Wを推奨。発振止めの第1グリッドの直列抵抗は省いた。OPT2次側に入れるゾベルCRも無くした。パラ発振止めのR7はIg2を測定するために入れてある。C4はいわゆる信号ショートループで、通常のカソードバイパスコンデンサでも構わない。無帰還でなければ嫌な人はC1を直接GNDへ、R2とR8とC5は削除する。

ヒーターバイアスは6AR5のカソード電圧を利用しているが、もっと高いほうがヒーターハムが少なくなるかもしれない。あまりに低残留ノイズを求めるとヒーターをDC点火する羽目になるので、0.5mV以下を目安としたい。

電源部はPMC-95Mの120V-0V-120Vタップをブリッジ整流する。メーカーおすすめの使い方ではないが、実用上支障ないのでこのようにしている。チョークコイルKAC-210は無くても問題ないので、その場合はチョークコイルとC7を削除して構わない。+Bが高めになるのでR9を100kΩに変更する。

R12の330kΩ1Wは入手が難しいかもしれないので、150kΩ1/2Wと180kΩ1/2Wの直列でもよい。電源部のテストを含め、真空管を挿さないで電源をオンすることがなければ、R12自体を省いてしまっても構わない。なお、電源オフ後に6AU6と6AR5が冷めてしまうと+Bが落ちるのが遅くなり、シャーシに手を突っ込んだ時に感電する恐れがあるために入れてある。

 

電圧増幅段の6AU6は実験で確認しておくことにする。

 

昇圧DCDCを使い、電源電圧を280Vに設定して各部の電圧と利得を測定する。

 

実験風景。

 

1本目の6AU6。利得は93.5倍。

 

2本目の6AU6。利得は104.1倍。

各部の電圧はEg2が低めだがプレート電流が多めに流れている。利得はLTspiceの112倍に対し、83%と93%となった。出力は50Vrms(141.4Vp-p)は出ていたのでドライブは問題なし。

 

電圧増幅段のCRパラメータはまずOKだが、利得が2本で10%も違うのは問題。他に6AU6を入手するか、それとも入力ボリュームで出力が同じとなるように調整するか。

 

(追記)

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回路図を見ていたら6AR5が6AU6と挿し替えできることに気がついた。2ピンと7ピンをつないでおけば6AR5の7ピンはNCだから問題ない。ためしにロードラインを引いてみたら出力は0.5Wとなった。電源電圧の変更、カソード抵抗の変更でいけそう。

 

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6AU6をパラレルにした際のロードラインを引いてみた。パラレルなので14kΩのロードラインを引く。動作点はEb=275V, Ip=10mA, Eg=-5.1V。出力は0.56*2=1.12Wまで出る計算になる。

 

6AU6が6本のシングルアンプなんて面白そうなんて思うのは私だけだよね。

(追記ここまで)