組み上がった6AR5シングルアンプの配線チェックを行う。ミスは無いようなので、真空管を挿して電源投入、各部の電圧を素早くチェックする。回路図と実測の電圧に大きな違いはなかった。
SP端子にDMMをACレンジにして接続し、RCA端子に指を触れて電圧が上昇するのを確認。今回も動作一発OKだ。
続いて測定器をつないで動作確認を行う。用意したGEの6AU6はノイズが多く、利得も低かった。そこで手持ちの東芝・通測用6AU6で試したところ、ノイズが低く利得が揃ったのでこれでいくことにする。
この状態で聴いてみた。穏やかでクラシック向きという感じ。DFが1.5程度しかないのでNFBをかけてみよう。抵抗値は大体6dBということで750Ωとした。1時間ほど聴き続けていたところ、クリアになりスケール感が出てきた。
曲調で音色が変化する。優しい曲は優しく、メリハリのある曲はメリハリのあるサウンドに。女性ボーカルの声音も良い。これはイケるかも!ラジオ球でこんな音が出るとは思わなかった。とにかく自分で聴いてみなくちゃわからない。
詳細な特性を測定する。安定性の確認のため、オシロで10kHzの矩形波を観測し、ダミーロードをオフにしてコンデンサ0.22uFをつないだところ発振した。そこで0.1uFと10Ωのゾベル素子をOPTの2次側に入れてみるが発振は止まらない。追加でNFB抵抗に位相補正容量1000pFを入れたら発振しなくなった。
回路図に赤字で実測の電圧を記入した。
詳細な特性を測定。出力は1.1W、DFは4.0となった。NFB量は7dBとすこし多めにかかっていた。残留ノイズは0.1mVと低い。
Analog DiscoveryによるLchの周波数特性。
Rchの周波数特性。
クロストーク特性。20Hz~20kHzでは-69dB以下となった。
Lchの歪率特性。2次歪みが多く、カーブが直線的になった。
Rchの歪率特性。Lchと同様、ただ2次歪みはこちらのほうが多め。
(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div)
SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが、リンギングはあるものの安定している。
特性的には問題なさそう。
再び試聴する。ゾベル素子や位相補正容量の追加で音の鮮度が失われることを危惧したが、どうやら大丈夫のようだ。