私は音楽専用PCをトランス式USBDACで接続しオーディオシステムで鳴らしている。でも常用PCをオーディオシステムで鳴らしたい時があり、ケーブルを繋ぎ変えるのが面倒だ。ではBluetoothレシーバーを使って鳴らせるようにしたらどうか。
AmazonにてBluetooth基板で検索すると、現在(2023年6月)では赤と青の基板がヒットする。赤い基板は中国から1~2週間かかって届くようで、私はそんなに待っていられないので青の基板を購入した。896円だからそんなに高価ではない。
ワンチップICにBluetoothとDACが組み込まれている。ICは赤の基板では数種類あるようだ。
電源電圧は3.7V~5Vとなっている。PCにUSB Micro B接続ケーブルで電源供給してみると難なくペアリングできたし音出しもOKだった。電源オン時とペアリング時に女性の声でアナウンスがある。
電源オンで赤のLEDが点滅し、ペアリングが完了すると常時点灯となり、音楽を再生すると再び点滅する。Bluetoothのデバイス名は"Bluetooth"となっている。Bluetooth基板の電源オンで音量は83%になる。100%に調整しても次の電源オン時には83%に戻ってしまう(但し表示は83%だが音量は100%になっている)。
音は可もなく不可もなくといった感じで言わば情報量小。WaveGeneでサイン波を出し、オシロで波形を見てみると、10kHzあたりから20kHzにかけてノイズが乗っている。これは高周波ノイズと思われる。そこでLPFでノイズを低減させてみようと思う。
手持ちのインダクタとコンデンサを探したところ、2.2mHのインダクタ(Bourns RLB0812-222JL)と0.01μFのフィルムコンデンサが出てきた。LPFを通すと10kHzあたりにピークを生じたので、インダクタと直列に抵抗510Ωを入れたらほぼフラットになった。この状態でLPFを組み込んで試聴したら高域が出過ぎに感じたので、R1を510Ωから560Ωに変更した。なおR2の51kΩはボリュームを想定している。
周波数特性を上記に示す。WaveGeneの1KHz・0dBにおける出力は0.93Vだった。20Hzで-0.1dB、20kHzで-0.8dBに収まっている。
歪率は、WaveGeneの出力0dB時のみを測定した。概ね0.1%台に収まっている。
残留ノイズはペアリング時で12μV(L・Rとも)だった。嘘みたいな値だが、無信号時にはミュートが働くようでレベルが低い。
消費電流はペアリング時に14.5mA、信号を出力している時で21~22mA。これなら電池駆動でOKだ。
クロストーク特性も測定してみた。20Hz~20kHzでは-80dB以下となっており、低域での悪化もない。
Bluetoothレシーバーを100円ショップのポリプロピレンの容器に組み込んだ。電源は単3のNi-MH電池を4本で4.8V。インダクタはクロストーク対策のため出来るだけ離し、互いに90度となるように配置。出力のボリュームはセレクタに50kΩのボリュームがあるために付けていない。
ノイズの飛び込みがあるようなら銅箔テープで覆えば良いし、フタを開ければ充電池を取り出して充電できる。容器が透明なため、外からでもLEDが点灯しているのが見える。
試聴したところ、LPFのエージングが必要らしく聴いていたらだんだん良くなった。トランス式USBDACとの差は、トランスのほうが雰囲気が出るのに対し、Bluetoothレシーバーのほうはクリアといった感じ。基板の896円以外は全て手持ちのパーツで出来たし、他にお金はかかっていない。
安易な気持ちで組んだBluetoothレシーバーだが、案外メインの使用でも問題ない。ちゃんと組むのなら立派なケースに入れてアンテナを外付けにし、AC電源にするのが良いだろう。でも電池をスイッチングACアダプタに変更したらノイズを取るのが大変そうだし、消費電流が少ないので、現状でも電池を充電する頻度は少ないと思う。
今回の製作で気を良くして中国から赤い基板を取り寄せ中だ。無事届いたら同様に使えるかどうか試してみようと思う。
(2023.08.07追記)
入手した赤い基板は、PCでは「デバイスが認識できません」のエラーが出て使えなかった。スマホ(android)ならOKだった。
(追記ここまで)
参考までにBluetoothのバージョンの確認のしかた。スタートボタンを右クリックし、デバイスマネージャーを選択。Bluetoothの左をクリックして出てきたもののうち、右クリックしてプロパティを選択。詳細設定のタブのあるものを探し、ファームウエアバージョンを確認する。LMPナントカの値でBluetoothのバージョンがわかる。上記画像ではバージョン5.2。対応が載っているWebは以下にあり。