おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6AR5シングルアンプ・動作確認~特性測定

配線とCR取り付けが終わったので配線チェックを行う。回路図と照らし合わせてテスターで導通を確認。回路図のチェックした箇所にマーカーを引く。電源部は電圧を確認済みなので、出力にショートがないかどうかをテスターで当たって確認するのみ。回路図にマーカーを全部引き終わったら、電解コンデンサの極性とダイオードの向きを再チェック。

真空管を挿し、カソードとGND間にテスターを接続しDCVレンジにする。電源オンし電圧がどうなるかを見る。だいたい回路図の電圧と同じになったらもう一方のカソード電圧を素早く確認し、+Bをはじめ各部の電圧を確認する。値に大きな違いがなければOK。SP端子にテスターをACVレンジにして接続し、RCA端子に指を触れて電圧が上昇するのを確認。今回も動作一発OKだ。

測定器をつないで1kHzのサイン波1Vrmsを出力させ、左右チャンネルでどのくらい違うかを見る。ほぼ同じであれば良いが、差が大きい場合、真空管を差し替えて差が小さくなる組み合わせを調べる。入力のボリュームがないので、左右の利得の差を調整できないから。

各部の電圧を測定。AC100Vが変動するので、AC100Vと測定箇所にそれぞれ2台のテスターを接続して電圧を読み取っている。設計値に大きな違いがないことを確認。設計よりすこしカソード電流が多いけど問題ないだろう。

NFB抵抗と位相補正容量をつないで諸特性を測定。NFBは実験機と同じ値とした。たまたま利得の低い真空管の組み合わせで裸利得がすこし低くなったので、NFB量も実験機の7dBから6dBへ下がった。残留ノイズは0.1mVと低い。

Lchの周波数特性。位相補正容量の1000pFは、SP端子の負荷オープンでコンデンサを接続した際に発振しない値を選んでいるので、特性の差もわずかだ(黄緑の線)。20Hz~20kHzは特性がフラットであるので問題ない。

Rchの周波数特性。Lchとほぼ同じ。

NFB後の周波数特性。両チャンネルの特性が揃っている。特に位相特性が揃っていないと定位が出ないらしい。

クロストーク特性。20Hz~20kHzでは-76dB以下となった。入力ボリュームレスということもあるが、高域でクロストークが悪化しないレアケースとなった。

Lchの歪率特性。直線状の2次歪みが多いカーブとなっている。0.1Wですでに歪率1%台だが、人間の耳には2%程度でないと検知できないらしいので問題ない。

これが音色の色付けになっている可能性がある。聴いて良い印象を与えることができるのなら、むしろ良いと思う。真空管アンプならではの音色になっているからで、色付けが無いのを好むのならそういうアンプを使えば済むこと。

Rchの歪率特性。こちらも同様だった。

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(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div)

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが、リンギングはあるものの発振はしなかった。絶対的な安定を望むのなら位相補正容量を増やせば良いが、音色に与える影響を無視できなくなるのでこの程度でOKとした。

特性を調べた限りでは問題なかった。実験機と同じ回路なので、本番機のレイアウトや配線に問題がなければ大丈夫と言える。このように特性をある程度保証できれば、出てくる音に問題があることは少ない。

大抵は何かしら問題が発生し対策をするのだが、本機においては無問題でそのまま完成までいってしまいそうだ。