じつはある方から真空管アンプの製作を依頼された。それはPEN45を3結で使ったシングルアンプで、電圧増幅段には7A7かCV1056を使ってほしいとのこと。
PEN45は欧州の6V6GTと言われているらしい。淺野勇氏によると、PEN45の3結はUX-45に相通じるものがあるとのこと。音質がそうなのかはわからない。
PEN45はビーム管で、ヒーターは4V1.75A。6V6GTは6.3V0.45Aだからヒーター電力はPEN45の7Wに対し、6V6GTは2.8Wと全然異なる。PEN45のEpmaxは250V、Eg2maxも250V。Ppmaxは10Wとなっている。
PEN45が欧州球なので、電圧増幅段も欧州球のCV1056で揃えたい。CV1056はEF39と同特性でヒーターは6.3V0.2A。トップにG1が出ている。EF37Aと同じかどうかはわからない。
岩村保雄氏が無線と実験2023年8月号でEF37AとPEN45のシングルアンプを発表している。EF37Aは3結、PEN45も3結で無帰還となっている。
私はNFBをかけるのを前提として、CV1056を5結、PEN45は3結としたい。拙6AR5シングルアンプが同様な回路構成だ。
OPTは依頼者から支給された染谷電子のA66-57K8SAで、出力容量5W、1次インピーダンスは5kΩと7kΩ、2次インピーダンス8Ω、1次許容DC電流65mAの仕様だ。重量は1090g。
50Hzにおけるインダクタンスは、実測で重畳DC電流30mAとして5kΩが16H~17H、7kΩが22~23Hだった。かなりインダクタンスが高い。岩村氏によるとPEN45の3結におけるrpは1.84kΩとのことなので、インダクタンス値としては十分だと思われる。
こんな感じ、ということで回路図を書いてみた。電源トランスはPEN45のヒーター電圧が4Vということもあり、西崎電機へ特注を考えている。+BはFETリプルフィルタを使い、出力インピーダンスが低いことから電圧増幅段と出力段にはデカップリングCRを入れない。
今回も出力段カソードから+Bへの信号ショートループを採用。OPTは5kΩとしたが、7kΩでの実験を考えている。
CV1056の回路CRのディメンジョンはMullardのEF39のデータシートを使ったが、フィッティングが必要だと思われる。電圧増幅段だけはバラックを組んで決めたい。