配線が完了した6FJ7シングルアンプ2号機を、回路図と突き合わせてチェックを行う。漏れやミスは無いようなので、真空管を挿して電源オン、+Bと6FJ7電力増幅ユニットのカソード電圧を交互にチェックする。各部の電圧を測定、電圧増幅ユニットのプレート電圧が280Vくらいあったので、半固定を回して238Vに下げた。
220μF350Vにかかる電圧は、電源オン後370V近くまで上昇するが、10秒しないうちに下がって340V程度で安定する。
SP端子にテスターをACレンジにして接続、RCA端子に指を触れて電圧が増加するのを確認。動作一発OKだ。
測定器をつないで簡単に特性を測定。4本の6FJ7をとっかえひっかえして利得の近い、残留ノイズが少ない組み合わせを探す。
回路図に実測の電圧を赤字で記入した。
無帰還での諸特性を上記に示す。高域の落ちが早いのは、おそらくOPTのT-1200によるものと思われる。利得は30倍あった。残留ノイズは0.1mV~0.2mV。6FJ7を交換してもLchの残留ノイズが0.1mVほど多い。おそらく電源トランスからの誘導ハムの影響だろう。数値的には低いので問題にはならない。
Analog Discoveryによる周波数特性。高域の落ちが早いが両チャンネルで特性が揃っている。
NFBをかけてみる。6dB程度ということで、NFB抵抗は1.5kΩとした。
詳細な諸特性を測定。NFBは6.4dB、高域は36kHz~38kHzまで伸びた。1kHzにおける歪率5%での出力は1.7W~1.9Wだった。DFは4.1とまずまず。残留ノイズは0.1mVレベルまで低下。
再び周波数特性(Lch)。高域にわずかピークが認められるが問題ないと思われる。
Rchの周波数特性。
クロストーク特性。高域に悪化が見られる。これはそれぞれのチャンネルの6FJ7電力増幅管が反対チャンネルの電圧増幅管に影響しているため。2本の間に手を入れてみるとクロストークが減少する。1号機と同様であり、この類のクロストークは聴感に影響を与えないようで、問題なしと判断する。20Hz~20kHzでは-56dB以下となった。
Lchの歪率特性。2次歪み主体の直線状であるが、各周波数で差が少ない。
Rchの歪率特性。Lchと同様だった。
(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div)
SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが、リンギングはあるものの発振はしなかった。
特性を調べた限りでは問題なかった。