おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

PEN45DDシングルアンプ・完成

このアンプは先日製作したPEN45シングルアンプ(納品済)のサウンドを再現しようとしたものだ。しかし同じ真空管は手に入らず、PEN45はPEN45DDに、CV1056はEF39になった。

PEN45DDはPEN45に2極管を追加したもの。ヒーターは4V2.0AでPEN45より0.25A増えている。ユニットが増えたため、トップに5極部のG1が出ている。ソケットはPEN45と同じロンドンオクタルで、普通のUSソケットに対しピン間が広めのため互換性がない。

電圧増幅管はEF39を使う。CV1056と同特性とされているが、実際使ってみたら利得が低かった。

球ころがしをしたくてEF37Aを入手。結果的にはこちらを使うことになった。EF39より利得が多くて低ノイズだ。

回路図を上記に示す。当初はPEN45シングルアンプと同じ回路となっていたが、容量のみの負荷で発振するため4dB程度しかNFBがかけられない。そこで電圧増幅段にトランジスタによるエミッタフォロアを追加したところ、利得が少し増えて位相の遅れが改善されたため採用した。

電源トランスは前回と同じく西崎電機に特注した。同じ仕様だったが今回は唸りが大きく、シャーシとの間にゴムワッシャを挟んでいる。唸りは低減したが、電源トランス本体からの唸りは出ている。

 

諸特性を上記に示す。オーバーオールNFBは6.3dB~6.5dBでPEN45シングルアンプと同じ。エミッタフォロアを追加したため高域カットオフが伸びて63kHzとなった。

Analog Discoveryによる周波数特性。2個のOPTの高域特性が見事に揃っている。OPTはアンディクス・オーディオのOPT-S14。

クロストーク特性。20Hz~20kHzでは-67dB以下となった。

Lchの歪率特性。各周波数が揃っている。5%歪みでの出力は1.5W。

Rchの歪率特性。Lchと同様だった。

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(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div) SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが、リンギングはあるものの発振には至らなかった。

使用機材
オシレータ TEXIO AG-205
ミリボルトメータ LEADER LMV-181B
デジタルオシロスコープ IWATSU DS-5105B
オーディオアナライザ Panasonic VP-7721A
ANALOG DISCOVERY 2
PC Lenovo ThinkPad E14 OS Windows11 Home 22H2

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レイアウト図。PEN45シングルアンプに対し、電源トランスを90度回転したほうがOPTへの誘導ハムのレベルが低かった。+B電源部の平ラグをブロック電解コンデンサとの間に置いた。

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シャーシは株式会社奥澤のO-45、W300mm×D170mm×H50mmでt=1.5mmのアルミ。穴開けは自分で行い、ダークグレーマイカメタリックに塗装後、磨き仕上げとした。塗装は急いだわけではないけれど、クリアを厚く塗りすぎたせいか気泡やタレが発生してしまった。イマイチの出来。

今回もブツ撮りしたので掲載する。

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EF37Aの赤が映える。今回も真空管に印刷された文字が正面に来なかった。正面に向けてもいいけど真空管ごとに向きが異なるので差し替えるとやはり見えなくなったりする。

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4本の真空管は全てトップグリッドなのが特徴。ちなみにトッププレートは感電経験があるので、私は苦手。

 

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電源トランスの唸りがすこしでも静かになることを期待しよう。たぶん私が気にし過ぎなのだろう。実際レベルは低いし、殆どの人は気にならないと思う。

 

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シャーシ内部。アンディクス・オーディオのOPT-S14は配線が太くて取り回しが大変。でもトランスケース内に押し込んであるのでスッキリしている。

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EF37Aはハッキリクッキリのハイファイサウンド。低音には迫力があってスケール感に優れる。音場が後方に展開する印象。

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EF39ではストリングスが良さげな感じ。こちらのほうがヨーロピアサウンド(って何だ?)に思える。穏やかで落ち着く。