PEN45DDシングルアンプの電圧増幅段にトランジスタのエミッタフォロアを追加したら特性が向上したので、6AR5シングルアンプでも同様の改造をすることにした。
回路にトランジスタを追加した。エミッタ抵抗は手持ちの都合で220kΩとした。
改造したシャーシ内部。今回は貼り付けボスで立ラグを固定し回路を組んだ。
反対側から見たところ。
改造後に測定した電圧を赤字で示す。
改造前後の無帰還での周波数特性比較。利得がすこし増え、高域のカットオフが伸びているが、あまり差が見られない。6AR5の3結の入力容量は多くないのだろう。
諸特性を測定。高域カットオフは52kHz~53kHzとなった。改造前は43kHzだったから10kHz伸びている。NFB後の利得は7.4~7.5倍で、改造前は6.7倍~6.8倍だった。NFBは抵抗を変更しなかったこともあり、6.1dB~6.2dBから6.5dB~7.1dBに増えている。
NFB前後のLchの周波数特性。
NFB前後のRchの周波数特性。無帰還はAnalog Discoveryの調子が悪く、こんなにゲインが高いはずはないのだが、なぜか何回測っても同じだった。
クロストーク特性。20Hz~20kHzでは-76dB以下だった。
Lchの歪率特性。改造前後でほぼ同じ。
Rchの歪率特性。こちらも同じだった。
(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div)
SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが、リンギングはあるものの発振には至らなかった。
改造後の試聴。改造前の音を聴いていなかったこともあり、殆ど変わっていないように思える。女性ボーカルは艷やかだし、出力1Wのアンプだがスケール感がある。聴いていて穏やかで休まる感じ。
特性の向上は6AR5シングルアンプにおいては殆ど見られなかったが、まあこれはこれでアリだろう。改造時間は1時間だから、出力管を強力にドライブする必要があると思ったらやってみる価値はあるかも。