おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6AN8A

先日行われたミニオフ会で6AN8Aを頂いた。これを使った回路を考えてみよう。

6AN8Aは電圧増幅の中μ3極管とシャープカットオフ5極管が1本に封入された複合管だ。ヒーターは6.3V450mA。3極部ユニットのμは19となっている。オーディオ管だそうだが、アプリケーションではテレビの回路用になっている。

回路で思いつくのは5極部ユニットと3極部ユニットを縦積みにしたSRPP、通称ぺるけドライブだ。5極部の利得と低出力インピーダンスを併せ持つ。縦積みにする関係上、高い電源電圧を必要とするのではないか?

LTspiceでシミュレーションしてみた。電源電圧は200Vとした。C3は出力管の入力容量、R5はグリッド抵抗を想定している。

出力波形。クリップしない程度に入力を大きくしたので2次歪みが見られる。なお、利得は39.7dB(96.8倍)だった。R3はNFB入力を想定しているから、C1をGNDに接続してみると、もっと利得が高くなり40.8dB(109.6倍)程度になる。

 

出力インピーダンスをR5(470kΩ)のオンオフ法でやってみたら14.5kΩとなった。値がどの程度正しいかはわからないが、かなり低いといってよい。

折角LTspiceでシミュレーションしているのだから、CRのパラメータを振ってみよう。上側3極管のカソード抵抗R4を2kΩから5kΩまで変化させてシミュレーションしてみた。

波形の振幅が変化しているが、2次歪みの割合も変化していることがわかる。

利得も37.3dBから42.7dBまで変化している。

SRPPでは高い電源電圧が必要に思われたが、案外200V程度でも動作することがわかった。スクリーングリッドの抵抗R6も振ってみたけどあまり変化が無かったのでここには記載しない。回路の消費電流は全体で1.2mAだった。ノイズは実際に使ってみないとわからない。

ぺるけドライブとは直接関係ないが、カップリングコンデンサC2を0.1μFから1μFまで変化させてみた。20Hzでレベル低下が起きないことを考えると、0.33μF程度が適当に思える。もっとも出力トランスで帯域が決まってしまうから、それ以外でレベル低下が起きないように考慮するなら、ということ。

今度は下側管のカソードバイパスコンデンサC1を47μFから1000μFまで変化させてみた。47μFだとかなり高い周波数からレベル低下が始まっていることがわかる。20Hzでは大体470μFでフラットになり、1000μFなら十分といえる。

私はミニワッターで十分なスケール感を達成するために、カップリングコンデンサやカソードバイパスコンデンサの値を決めている。出力トランスで帯域が決まるようにしたい。