おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

R120シングルアンプの構想

ある人からR120を使用したシングルアンプの製作依頼があった。支給されたのは出力管R120、電圧増幅管C3e、整流管AZ50、OPTにSELのOTN-A3S。

R120は傍熱3極管でPp maxが15W、Ep=250V、Ip=60mA、Eg=-35V、RL=2.5kΩでの出力は3.5Wとなっている。バイアスの違いを除けば2A3と似ている。ヒーターは6.3V1.45A。フランス語のデータシートしか見つけられなかったからフランス製だろうか。私にはそのへんのウンチクはわからない。ベースはUS8ピン。私には5極管を内部で3結にしているように見える。

C3eは電圧増幅5極管でヒーターが18V0.24Aと特殊だ。データシートがこれまたドイツ語で書かれており、SIEMENS製。

 

ソケットも特殊でPOST9ピンというもの。F2aなどが代表か。中国製のセラミックしか見つからず、依頼者が取り寄せ中だ。

整流管はAZ50でSIEMENS製。直熱のFull Wave Rectifierでフィラメントは4V3A。最大500Vで250mAまで取れる。今回はシングルアンプで120mA前後だから大丈夫だろう。ベースはUF。

OPTはSELのOTN-A3Sで1次インピーダンス2.5kΩ、2次インピーダンス4Ω・8Ω・16Ω、出力容量7W、重量0.75kgとなっている。最大1次重畳DC電流は不明。入っていた資料によると、ノグチトランスが菅野電機のOTシリーズ出力トランスを当時と同じ材料、同じ巻線方法で復活させたとある。製造も菅野電機となっている。

R120の特性図に2.5kΩのロードラインを引いてみた。動作点はEb=224V、Ip=57.8mA,Eg=-30VでPpは12.95W(15Wの86.3%)。出力を計算したら、OPTの損失を加味し3.3Wとなった。

最大プレート損失の80%前後となるようにロードラインを引いてみた。動作点はEb=216V、Ip=55mA、Eg=-28V、Pp=11.88W(15Wの79.2%)。出力は同様に計算して3.0Wとなった。

OPTの大きさから考えて下のロードラインのほうが良さそうに思える。依頼者は出力0.7Wの71Aシングルアンプで音量不足はないという話なので、あえて出力を欲張らず3W位に抑えたほうが出力管には優しいように思う。

電源トランスは260V-0-260V 130mA、6.3V3A、4V3A、18V0.5Aが必要なので、やはり特注になるだろう。ただAZ50のVoltage Dropがどの程度になるかわからないから、実験で確かめる予定。