組み立てが完了したR120シングルアンプ試作機の動作確認を行う。まず簡単に回路チェックした後、真空管を挿して電源投入。
素早く+BとR120のカソード電圧をチェックする。変な電圧でないことを確認。回路の電圧はほぼ予定どおり。
SP端子にDMMを接続してACレンジにし、RCA入力に指を触れ、電圧の上昇を確認。動作一発OKだ。
測定器をつないで簡単に特性を調べる。左右チャンネルで利得がかなり違う。C3eを入れ替えると逆になることや、両チャンネルで回路の電圧に大きな差がないことから、C3e自体の利得の違いだと思われる。残留ノイズやクロストークは問題なし。NFBをかけて利得が減少することを確認。
改めて回路の電圧を測定し、赤字で記入。C3eやR120のヒーター電圧が低めだが許容範囲。
諸特性を上記に示す。周波数特性は低域に偏っており、高域-3dB点での周波数は5.5kHz~5.7kHzと低い。これはOPTの特性による。残留ノイズは0.5mVと低かった。DFは1.4~1.5と無帰還では普通の値。
問題はLchとRchの利得に3dB弱の差があることで、C3eを左右逆に挿したら更に差が広がって6dB弱になった。入力のボリュームが左右別なのでLchを少し絞れば良い。回路的に対策するのならC3eのプレート抵抗をRchのみ75kΩから100kΩに増やすことかな。NFB量で調整するのは良くないと思う。
Analog Discoveryによる周波数特性。Lchの利得が高いので、線が重ならない。
果たして無帰還の状態ではどんな音なのか、聴いてみた。Lchの入力ボリュームを絞ってボーカルが中央にくるようにする。駄耳の私なので依頼者に聴いて頂くとして、絶望的に高音が出ないなどとはならず、女性ボーカルの子音がおだやかかなあ、という程度。DFは低いが、案外締まったボリュームのある低音が出てくる。