ECC88(6922)全段差動DCDCミニワッターの安定性を調べた時の表を再度、下の表に示す。
クローズド・ループゲインは負帰還後の総合利得で、実測の値を記入してある。ループゲインは、オープン・ループゲインに帰還定数βをかけたものである。
オープン・ループゲイン(負帰還無しの総合利得)と帰還定数から計算でクローズド・ループゲインを求めてみよう。
わかりやすい例としてぺるけさんの私のアンプ設計マニュアルがあるので、それをまねて説明してみる。
オープン・ループゲインが12.20倍の増幅回路に1(mV)の入力があった時、出力にはX(mV)が現れたとする。
負帰還抵抗はRin=82Ω、Rnfb=560Ωなので、帰還定数β=82/(82+560)=0.128となる。
出力のX(mV)が負帰還素子により0.128X倍されて入力に戻され、入力には1-0.128Xの信号が与えられる。
これが増幅回路で12.20倍され、X(mV)の出力が現れる。これを式にすると、X=(1-0.128X)*12.20となる。これを解くと、
クローズド・ループゲインは実測の4.72倍に対して計算では4.76倍となった。実際には測定や抵抗の誤差があるので、まあ近い値ではないかなあ?
同様にRchでも計算してみる。X=(1-0.128X)*11.91が成り立つので、
クローズド・ループゲインは実測4.67倍に対して計算では4.72倍となった。こんな感じで計算できる。
クローズド・ループゲインは、単純にオープン・ループゲインからループゲインを引いた値(dB)ではないことに注意。