ケースを作り直しという紆余曲折を経て完成したトランス式USB DAC。ボリューム付なのはメインアンプにボリュームを付けていないものがあるので、直結で聴くためには必要、といった理由だ。
回路図を上記に示す。赤の文字で訂正してあるのは秋月のDACキット、AKI.DAC-U2704と異なる値のCRを使っているところ。R12・C18、R13・C19からなるLPFはカットオフが48KHzとなっている。
ライントランスTF-3は150ΩSPLIT:600Ωで使用、入力インピーダンスが低いためR12・R13が33Ωと低めとなっており、またC5・C6が1000uFと大きくなっている。
特性は以下のとおり。
・出力電圧:0.98V(0dBFS)
・残留ノイズ:0.17mV(Lch,Rch)
DAC出力は0dBFSで0.64V、トランスで1.5倍程度昇圧して出力は0.98V。クラシックCDで音量が低いものは厳しいが、メインアンプの利得が10倍程度あるのなら問題ない。
残留ノイズはボリューム最大の値で、実使用上は0.05mVを切るくらいで収まっている。
周波数特性。0dBは0.98Vで20Hzは言うに及ばず5Hzでも落ち込みが少ない。
歪率特性。1KHz・10KHzの歪率が悪いのは測定系のノイズによるものと思われる。0.1%を切る優秀な特性で、50Hzでも殆ど悪化が見られない。
DAC内部。出力はRCAで不平衡だが、キャノン端子で平衡出力に対応することも可能。
後ろから。ミニUSB端子の穴開けは面倒だけど、穴開け自体が少ないからゆっくりやれば良いと思う。
トランス式USB DACの利点は聴感上のS/Nが優れているということ。素っ気無い音だから目立たないし気になることは無いと言って良い。
タムラのTpAs-203を使ったトランス式USB DACと比較して、音場の見通しに関してはTpAs-203版のほうが優れているように思う。低音の押し出しはTF-3版が圧倒的。小音量で聴いていてもバスブーストが必要だと思われる状況にはならない。