ザ・キット屋コラム「プリアンプの効果」より
拙ブログ「ボリュームによる周波数特性の高域低下」で少し書いたけれど、「パワーアンプの入力ボリュームを絞ると高域の周波数特性が劣化する」を検証してみた。
パワーアンプには拙17JZ8 CSPPアンプを使い、入力にオシレータ(600Ωシャント)、出力に抵抗8Ωをつなぎ、オシレータの出力一定で入力ボリュームを絞りながら周波数特性を測定した。
1KHzの2.83V出力(1W)を0dBとした時の-10dB、-20dB、-30dBの周波数特性を上のグラフに示す。-10dBでは高域の落ちが早くなっているが、-20dB・-30dBではあまり変わっておらず、-30dBではむしろボリューム最大時(0dB)と同じ周波数特性が得られているのがわかる。
それぞれ1KHzのレベルを0dBとしてグラフを引き直してみた。やはり-10dB時の落ちが一番で、それよりボリュームを絞ると逆に高域のレベル低下が少なくなっているのが見てとれる。
ツマミ位置と-3dBの周波数を表にしてみた。ツマミの位置にかかわらず高域の劣化が少ないのがわかる。
結論として、50KΩAカーブ程度の入力ボリューム、 プリアンプやCDプレーヤーの出力インピーダンスが600Ω以下のものを使用する限り、高域の劣化を気にする必要はない。
但し、入力ボリュームに500KΩAや1MΩAを使用したり、プリアンプの出力インピーダンスが高いものを使用する時にはこの限りではない。
それでもCDプレーヤーを使用している時は、パワーアンプ直結よりもライン・プリアンプを通したほうが聴感上良かったりするのを経験しているから不思議だね。
似たような実験は拙ブログ「7C5ラインアンプのボリュームを交換」で行っているのでご参考。