おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

春日無線KA-5070Sの特性評価

春日無線KA-5070Sの特性評価を行ったので、備忘録としてまとめておくことにした。

 

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また同じ画像つかってー。

 

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購入した時に入っていた紙。1次最大電流は80mAで、1次インダクタンスは最大30Hとなっている。出力は20W。重さは2.6kgとかなりの大型。

 

2段増幅回路用トランス(2段アンプ・3段アンプでも、4Ω・8Ω・16Ωが使える春日無線変圧器方式になっています。)

 

春日無線のWebより。わかりにくいと思われるので、どういうことなのか説明してみた。

 

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上記のように、2段アンプと3段アンプでは位相がひっくり返るので、1次側はそのままで2次側をひっくり返して使えるようになっている。黒を基準にするか(2段アンプ)、灰を基準にするか(3段アンプ)。

 

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インピーダンスだと解りづらいので、変圧比を調べると上記のようになる。1Ωがあるのは、ひっくり返した時に8Ω端子として使えるというわけ。

 

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購入した2個の巻線抵抗の実測値(室温24℃)を上記に示す。仕様では0-7KΩは211Ω、0-5KΩは178Ωとなっている。

 

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No.1トランスを2次側オープンでインピーダンス特性を測定した。DC重畳で違いが現れるのはインダクタンスの低下によるもの。

 

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インダクタンスはDC重畳で50Hzでは28H〜29Hとなった。DC重畳するとインダクタンスが低下し、電流の差でインダクタンスは殆ど変動しない。

 

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2次側の0-8Ω間に8Ωを接続した時のインピーダンス特性。400Hzでは7KΩとなり一致した。低域ではインダクタンスの差がインピーダンスの差として現れている。

 

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CV4055シングルアンプにKA-5070Sをつないで7KΩ:8Ωとした時の三結での周波数特性を測定した。NFBは5.6dBかけている。2次側は0-8Ω間に8Ωの抵抗を接続している。正接続と逆接続というのは、1次側と2次側を同時にひっくり返したもの。

 

こんなに特性が違うとは思わなかった。100KHzまでの素直さを取るのなら正接続かな。逆接続だと小さなピークやディップはあるものの、素直に減衰していっている。

 

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今度は2次側の接続を変更、逆接続での0-8Ω間と1-16Ω間にそれぞれ8Ωをつなぎ、周波数特性を測定した。違いは主に150KHz以上で現れている。

 

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これはNo.2トランスで測定したもの。No.1と同じような特性となった。

 

実際にKA-5070Sを使用する際には、素直な周波数特性となるような接続を選んだほうが良いと思う。

 

余談だが、このトランスはよく鳴くことがわかった。まるでワニス含浸していないみたいだ。含浸していると思うけど。気になる人はケースに入れたほうが静かになると思う。

 

(2015.10.17追記)

トランスから出ている配線の根元を確認するとワニス含浸されているのがわかった。カバーを外そうとドライバーとナット回しでやってみたが固くて緩められなかった。締め付けが弱くてコアが振動しているわけでは無さそうだ。

(追記ここまで)

 

また2個並べて設置する際にはあまり接近させないほうが良い。誘導で低域のクロストークが悪くなってしまう。そういうことを気にしない人はデザイン優先でやって構わないと思う。