おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

シングルアンプの低音における倍音は豊か

かねてから思っていたことを調べてみることにした。それは真空管アンプにおける低周波でのFFT解析だ。

 

シングルアンプで例えば20Hzのサイン波をオシロで観測すると、あまり出力電圧が大きくないのに波形が歪んでいるのが見て取れる。

 

それはOPTが飽和しているためで、OPTのインピーダンスが低くなりロードラインが立つので電流のピークが大きくなり出力管に負担がかかる。だから低音の大振幅を入れることは避けたほうが良い。

 

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これはCV4055シングルアンプの20Hz・1.5V出力におけるサイン波形をWaveSpectraでFFT解析したもの。8Ωの負荷を接続しているので出力は281mWといったところ。本当は2Vの0.5Wで観測しようとしたが出なかった。OPTはOUT-54B57で出力は5W。

 

歪率は13.5%位で20Hzの基本波に対し、40Hz・60Hz・80Hz・100Hz・120Hz…といった倍音成分が出ていることがわかる。

 

このアンプは1KHzでは2.8W(at 歪率5%)出るが、20Hzではせいぜい0.2Wも出ればいいほう。

 

シングルアンプの低音はおしなべてこんな感じで、音階がわかるのは倍音を聞き取っているからといえる。

 

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次に比較対象として6SN7全段差動アンプFFT解析結果を上記に示す。同様に20Hz・1.5V出力だ。OPTはKA-14-54Pで出力は10W。

 

歪率は0.6%位で格段に低い。このアンプの出力は1.3WでCV4055シングルアンプより小さいが、低音の出力に余裕のあることがわかる。やはり40Hz・60Hz・80Hz・100Hz・120Hz…といった倍音成分が出ているがレベルは低い。

 

プッシュプルアンプのOPTは、例えばKA-14-54Pではインダクタンスが100Hあるから、低周波においてもインピーダンスが下がりにくい。OUT-54B57ではDC重畳30mAにおけるインダクタンスは13Hしかない。

 

実際に音が出ている時にはスピーカー自体からも高調波が出ている。だから小口径のフルレンジスピーカーでも倍音により低音の音階が聞き取れる。