組み立てが完了したEL32シングルアンプ試作機の動作に問題がないか、特性を調べてみた。
無帰還の状態での利得は32〜33倍で設計の25倍に対し多い。おそらく2SK117のgmがシミュレーションより高いせいではないか。周波数特性は高域の-3dB点が63〜66KHzと伸びている。残留ノイズは両チャンネルとも0.24mVで問題なし。
周波数特性。180KHzまでは綺麗に落ちており、左右チャンネルの特性がよく揃っている。300KHz〜400KHzにピークがあるが-10dB程度なのでNFBを深くかけない限り大丈夫と思われる。
オーバーオールNFBをかけるべく抵抗値を探ってみた。6dBでは1.8KΩとなった。取り付けて周波数特性を見てみたら高域に盛り上がりがなくフラットなので位相補正容量を付けないでおく。
詳細な特性を調べた。NFBをかけたら高域は-3dB点が100KHz超まで伸びた。低域は20Hzで-0.1〜-0.2dB。残留ノイズは0.15mVまで下がった。DFは4.6。5%歪みでの出力は1.7W〜1.8Wとなった。 解体したアンプはUL接続でNFBがもっと深くかかっていたのに今回の試作機の特性は全ての項目でそれを凌いでいる。解体したアンプの特性その他はこちら。
6dBのNFBにおける周波数特性。400KHzのピークが-6dBまで持ち上がっているがまだ余裕あり。
クロストーク特性。低域でも残留ノイズに埋もれており、20Hz〜20KHzでは-67dB以上となっている。
Lchの歪率特性。A2級への移行は1.2W以上で起こっているようだ。5%歪みでの出力は1.8Wで、設計での1.6Wより出ている。
Rchの歪率特性。Lchと殆ど同じ。こちらの出力は1.7Wだった。
特性的には問題となるところは無いようだ。
3階に持ってきて試聴する。オールマイティで文句のつけどころが無い。なんかもう弄るところが無いみたい。数日聴いてみて改善点が見つからないときは解体して本番機の製作に取り掛かるつもり。
EL32の特徴は音色に艶やかさが感じられることだと思う。こういうのを英国の香りとでも言うのだろうか。奥行きのあるソースを再生するとちゃんと再生される。この音を気に入ったら他のアンプは不要といっても過言ではない。