おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6550 CSPPアンプ・出力段の検討

毎日寒い日が続いている。6HA5パラシングルアンプと6FJ7シングルアンプは本番機を製作する段階に来ているのだが、気温が低くてシャーシ塗装ができない。塗装の最低温度は5℃らしいので、スプレー缶やシャーシを暖めればできないことはないと思うのだが、無理して仕上がりが悪くなってしまうのでは困る。

 

そこで年頭に考えた6550 CSPPアンプの検討を進めようと思う。これなら机上でできる。ただ回路設計は苦手で差動回路はよくわからないので思いきり間違いをしてしまうかもしれない。だから拙記事は眉にツバをつけながらお読み下さい。

 

ラジオ技術2014年5月号の塩田氏による「KT88-CSPP 35Wパワーアンプ」を元に拙アンプの設計を考えている。後の記事によるとパワーアップを図っているようだ。仮に出力40Wだとして50Wは電力比で+1dB、100Wでも+4dBの違いでしかない。出力が増えるとCSPPではドライブ電圧が高くなり困難度が増すし、出力管のH-K耐圧が問題になってくるし、+Bの最大電流を増やす必要が出てきて電源トランスが特注となってしまう。

 

私のような小出力真空管アンプビルダーには35Wでも40Wでも50Wでも変わりがないので安全策を取りたい。それなら市販の電源トランスが使えるし、最大出力時のH-K耐圧の心配をしなくてもよい。

 

まずはEp-Ip特性図にロードラインを引いて、出力とドライブ電圧を計算してみる。

 

画像

6550にはスクリーングリッド電圧が記事と同じ200Vでの特性図が無いので、KT88の特性図に当てはめて考えた。ニーポイントが違っているかもしれないが大差はないだろう。

 

記事では+Bが350Vで固定バイアスとなっているのでプレート電圧を350Vとし、ASTR-08の1次インピーダンス4.4KΩの1/4、1.1KΩでロードラインを引いている。ロードラインはニーポイントより高い位置でVg1=0Vの曲線と交わっているみたい。

 

出力Poは(350-60)*0.262/2=38.0Wと算出できる。

 

ではスクリーングリッド電圧が200V時でのドライブ電圧がどのくらい必要なのか見積もってみる。

 

出力Poは(350-60)*0.262/2=38.0W

OPTの変圧比は√(4400:8)=23.45:1

SP端子の電圧(rms)は√(R*Po)=√(8*38)=17.44V

OPTの1次側での電圧は17.44*23.45=409.0V

出力管の利得を1.7とする。

409.0/1.7 = 240.6V

差動だから半分

240.6/2 = 120.3V

ドライブ電圧は120.3*2.828=340.2Vp-p

 

画像

今度はスクリーングリッド電圧が250V時の特性図でロードラインを引いてみた。特性図は6550のものを使用している。今度はニーポイントより低い位置でVg1=0Vの曲線と交わっている。出力的にはスクリーングリッド電圧が200V〜250Vの間にベストポイントがあるようだ。 出力Poは(350-45)*0.28/2=42.7Wと算出できる。

 

ではスクリーングリッド電圧が250V時でのドライブ電圧がどのくらい必要なのか見積もってみる。

 

出力Poは(350-45)*0.28/2=42.7W

OPTの変圧比は√(4400:8)=23.45:1

SP端子の電圧(rms)は√(R*Po)=√(8*42.7)=18.48V

OPTの1次側での電圧は18.48*23.45=433.4V

出力管の利得を1.7とする。

433.4/1.7 = 254.9V

差動だから半分 254.9/2 = 127.5V

ドライブ電圧は127.5*2.828=360.6Vp-p

 

出力段の利得は一般的に出力管のgmに応じて1.4〜1.9くらいになるようだ。塩田氏は記事中で1.81と計算されているが、おそらく特性図より実物のgmは低くなると見込んで1.7とした。バラックを組んで調べてみれば一発だがまあ当たらずとも遠からずといったところだろう。