動作確認が取れた6HA5パラシングルアンプだが、特性に問題が無いかどうか測定しようとしたところ、残留ノイズがLch 60uV、Rch 100uV前後で揺れ動いており安定しない。特にRchの揺れが大きい。
Rchのタマを交換したが現象は変わらず。ハンダ不良は無いもよう。そこでヘッドホンアダプタを接続しイヤホンで聴いてみたところ、傘にしとしと雨が当たるようなプツプツ音がしている。ほんの小さな音しかしないので、エアコンの音でかき消されてしまう。
6HA5グリッドを100uFでアースすると聞こえなくなることから初段がノイズを発生していると推定。
試してみたこと。
・VR2を固定抵抗に交換しても変わらず。
・C1と並列に100uFのコンデンサを接続しても変わらず。
・R2をショートするとノイズが大きくなる(NFBがかからない)。
・2SK30Aのゲートに100uFを接続しても変わらず。
・2SK30Aのドレインに100uFを接続するとノイズが小さくなる。
・ハンダゴテで2SK30A・2SC1815を温めても変わらず。
・念のためC3・C10を外してみたが変わらず。
いろいろ試してみて、初段電源用のツェナーにハンダゴテの先を近づけて温めるとノイズが消えることがわかった。
ツェナーを別のものに仮付けしてみたが変わらず。並列に入れている470uFに1000uFをつないだところノイズが減少。やはりツェナーからノイズが出ているらしい。
ツェナーの電流は0.7mAで、+Bからの降圧抵抗R7(39KΩ)と並列に抵抗を接続し、ツェナーの電流を増やしたらノイズが消えることがわかった。
39K//470Kで36KΩにしたら電流をあまり増やすことなくノイズが消えた。ツェナーの電流は0.9mAで0.2mAの増加となった。
これでイヤホンではノイズが検知できないレベルまで低下した。どうも試作機からあったノイズでイヤホンを使わなかったため見逃していたようだ。
VR2は12KΩを想定していたが実際は10KΩで2SK30Aの電流が1.9mAと多くなっていた。ツェナーの電流は1mAで設計していたが実際は0.7mAと少なくてノイズが大きくなってしまったようだ。ツェナーは電流を多く流すほどノイズが低くなるということ。でもどれくらい流せば実用上OKなのかわからない。
回路図の変更部分を赤枠で示す。
この変更で残留ノイズはLch 55uV、Rch 60uVであまり変動しなくなった。