おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

71Aパラシングルアンプの構想

年頭に71Aパラシングルアンプの製作を考えていると書いたけど、少しずつ進めておこうかと思う。回路図を作成しておけば、後はパーツ集めから始められる。

 

電源トランスとOPTはハシモトトランスのPT-100とHC-203Uを入手済。もう10年前になるのか。気力や体力、技術が充実しているうち使ってしまおう。

 

回路構成としては6922のカソードチョークドライブを考えている。6922は私好みの音のするタマだしこれを使いたい。初段は那須好男氏の71Aパラシングルアンプに倣って12AX7のSRPP。総合利得が7.5倍程度になるのでNFBをかける余裕が殆どない。3dB程度ならかけられるかな。従って残留ノイズは0.5mVを切ることを目標とする。

 

カソードチョークドライブは出力管が直熱、ドライバが傍熱の場合、ドライバがヒートアップするまでジーノイズが出る。これはドライバが動作する前は71Aのグリッドにカソードチョークが接続されただけの状態となりノイズを拾ってしまうためだと考えている。ドライバが動作し始めると低インピーダンスとなるためノイズは消える。

 

これを防止するため+Bには傍熱整流管を使う。71Aに+Bが加わらなければジーノイズは出ないはず。カソードチョークドライブだと+Bが低くて済むので、整流管で+Bの電圧を抑えようという目的もある。

画像

71Aのロードラインを引いてみた。3.5KΩ:8ΩのOPTに71Aのパラレルなのでロードラインは7KΩで引く。グリッドは+5V程度まで振り込めると想定して引いてある。動作点はEb=180V、Ip=17.3mA、Eg=-43Vとした。まだ変わるかもしれない。

 

出力を計算したら2Wくらい。ハシモトトランスの20WのOPTや電源トランスにしたら見合わないほど低いよね。でも拙宅では十分な出力だから良いのだ。

 

画像

ドライバ〜出力段の回路図はこんなふうになる。カソードチョークだと71Aのグリッド電圧は数ボルトとなるので必然的に+Bが低くなる。6922はEb=147.7V、Ip=4.5mA、Eg=-4.3Vとした。6922と前段はカップリングコンデンサで繋いで直結にはしない。

 

+B1は+Bから抵抗で落としているが、こうするとグリッド電流に負けて電圧が変動し、グリッドを大きくプラスに振り込めないということが起こる。定電圧化すれば解決するが、せっかく増幅段に半導体を使わないのに使ってしまってはどうかと思ってこのようにしてある。

 

ただ+BはFETリプルフィルタをこそっと入れようと思う。低域クロストーク改善のためには+Bの低インピーダンス化が不可欠だ。入れなくても聴感上問題ないのかもしれないが。

 

画像

整流管は何を使おうか。手持ちをゴソゴソしたら5Y3WGTBが出てきた。傍熱管なのでありがたい。このタマは電圧降下が大きいので+Bを低くするには好都合だ。データシートは6087で検索すると出てくる。

 

画像

+Bはどれくらいになるのか、ジャンク箱の抵抗をかき集めてテスト中。チョークは未入手なので180Ωの抵抗で代用している。負荷抵抗は全部合計すると2545Ωとなった。+Bが240Vだとすると94mA流れる計算となる。

 

画像

実測の電圧を赤字で示す。+Bは大体239Vとなるようだ。これにFETリプルフィルタによる降圧を考慮すると6Vしかないからすこし厳しい。

 

画像

初段はメンドクサイのでLTspiceでシミュレーションした。電源電圧を233Vとし、出力電圧は192Vp-p程度が得られた。これは入力が0.9Vrmsの時に67.9Vrmsの出力となる。利得は75.9倍だった。

 

画像

最大振幅での出力波形。

 

後は回路図として1枚にまとめるだけ。ドライバ〜出力段は実際の電圧に合わせてフィッティングする必要がある。71AはDC点火するのでそのための回路が必要。

 

デザインでは電源トランスとチョークコイルに合わせカバー型OPT、ST-14の真空管が4本、MT管が3本、GT管が1本と賑やかな構成となる。OPTより71Aのほうが背が高いから落とし込みにするかどうか。

 

画像