おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6AH4GTパラシングルアンプ・完成

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きっかけは拙EL32シングルアンプに2本だけ入手した6AH4GTを差し替えてみたことだった。クリアでワイドレンジ、女性ボーカルに艶がある。これはイケると判断。その後ヤフオクで4本入手したのでアンプとして仕立ててみようと思った。

 

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世の中には全段差動アンプの作例が沢山ある。優等生的だが音が自分の好みに合わない。ではパラシングルならどうだろうか。こちらの作例は見つからない。欠点は多いけれど光るものを持っているほうが惹かれる。というわけでパラシングルアンプを製作することにする。

 

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回路図を上記に示す。電圧増幅段はFETとTrのカスコードにTrのエミッタフォロアを組み合わせている。当初グリッド直列抵抗を入れないで試作したら発振したので手持ちの150Ωを入れたら止まった。150Ωというのはたまたま手持ちに4本あっただけで、本当はもっと低くしたいのだが発振に対する余裕度がわからないので試作機から変えていない。

 

OPTは春日無線のKA-6625Sで、終売になる前の特価販売で1ペアを入手。2次6Ωタップに8Ωを接続し3.3KΩ:8Ωとして使っている。 電源トランスは当初SANSUIのPM-8というものを使う予定だったが、シャーシ加工した後に電源トランスによる誘導ハムをOPTが受けそうなのが気になり、ノグチトランスのPMC-190M(磁気シールド・ショートリング付き)に変更した。

 

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シャーシは(株)奥澤のO-45(W300mm×D170mm×H50mm t1.5mm)を自分で穴開けしスプレー塗装したもので、色はダークグレーマイカメタリック1E9とした。塗装した後に水研ぎをしてコンパウンドで磨いた。

 

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諸特性を上記に示す。5%歪みでの出力は3.7W〜3.9Wで、シングルアンプの2倍程度となっている。高域は伸びており-3dB点は160kHz〜175kHz。6dB程度のオーバーオールNFBをかけている。詳細はこちら

 

いつものようにいろんな角度から(とは言っても大体決まっているけど)撮影してみた。

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電源トランス手前の小さいトランスは東栄チョークコイルCH-1150で、マットの黒で塗装したもの。

 

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この角度にならないとヒーターが灯っている様子が見えない。

 

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電源トランスと左側のOPTが近かったので電源トランスをPMC-190Mに替えた。Lchの残留ノイズは0.12mVだからすこし誘導ハムの影響を受けているとはいえ十分低い。

 

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OPTのKA-6625Sは背が低いので、チビ球の6AH4GTと高さが同等になっている。

 

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シャーシサイドはアクリル板を接着剤で貼り付けた。

 

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リアは端子が何かわかるのでレタリングはしていない。

 

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たまには違う角度から撮ってみた。

 

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シャーシ内部。パーツが真空管下に偏ってしまった。

 

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反対側から見たところ。入力にシールド線を使っているが、電源トランスから離れているので単に2本の線を撚ったものでも大丈夫かもしれない。

 

私より耳の良い!?妻の試聴結果を以下に記す。

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・スケールが大きくなってる気がした

・具体的に言うと、男性ボーカルの声がクッキリして  発音がきれいにわかった

・市販のCDで聴くとボーカルの歌っているのがこもって

 聞きづらいことがあるんだけど、言葉がクッキリして

 いるというか、発音が聞き取りやすい、そんな感じ

・低音はよく出ていると思う

・ブンブンいう

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駄耳の私の感想を書いておくと、メリハリがあってハイファイ調。自分好みにチューニングしたいせいもあるけど気に入った音が出ていると思う。

 

ブンブンいうというのは数100Hzに膨らみがあるという感じかな。周波数特性にそのようなレベル変動は見られないから、6AH4GTの特徴なのかもしれない。

 

これでピンク・フロイドのおせっかいの中からエコーズを聴くと低音が気持ちよく響く。大学時代、壁がブロックでできたアパートに住んでいたことがあったのだが、そこで聴いていた低音を彷彿とさせる。