もともとは夏の暑い時期のお気楽工作としてPCL83シングルアンプを組んだのだった。試聴してみると自分好みの音色だったので本格的に組み直すことにした。
PCL83は小さなMT管だからシャーシ自体も小さなものにしたい。電源トランスは解体アンプからの流用で大きすぎる。別のアンプに使うことにして春日無線のH9-0901を選んだ。
ケースはLEADのEX-2004とした。W200mm×D140mm×H40mmでブロンズアルマイト、角にRがついている。タカチのUS型アルミブロンズケース、US-200ならW200mm×D160mm×H40mmで角ばっているから良かったのだが廃番になってしまった。UC型ユニバーサルケースならUC20-5-14DD、W200mm×D140mm×H50mmでブロンズアルマイト、EX-2004とほぼ同じ形状だが10mm背が高くなる。
EX-2004のトップカバーはアルミA6NO1でt2.0mm。固くて加工しにくい反面バリが出にくい。トランスの角穴を開けるには覚悟が必要だ。
回路図を上記に示す。初段はFET-Trのカスコードで、PCL83の3極部ユニットによるカソードフォロア、5極部ユニットは3結にした。全段直結だが安定している。
諸特性を上記に示す。周波数特性はOPTの東栄変成器T1200-Rが狭帯域のため伸びていないが安定している。出力は1.1Wで、RchのPCL83を新品に交換したら出力は1.3Wとなった。消費電力は26.6Wで旧号機よりすこし増えたが+Bの電圧を上げたのと電流がすこし増えたため。残留ノイズは0.07mV〜0.08mVと低い。
いつものようにブツ撮りをした。まずは正面より。フロントパネルはシルバーカラーアルミでブロンズアルマイトのほうが統一感があって良いと思う。
電源トランスに銅板でショートリングを巻いたのだが膨らんでしまった。導電性テープで粘着タイプのスリーエムCU-35Cをもっと早く見つけていればこちらのほうが良かったのにと思う。ショートリングが無くてもあまり残留ノイズは増えないかもしれないけど。
もしやるのならトップカバーが黒の半つや消しなのでつや消しに再塗装したいと思うが、トランスを外してまた作業するのが面倒臭いのでこの程度で良しとする。
電源トランス前の空き地が気になるかなあ?小型のチョークを乗せれば完璧なのだがこのアンプの重さは2.5kgあってノートPCより重いくらい。筐体が小さいから結構重く感じる。
普通のACインレットを使用したのは他のアンプから交換して聴くのに差し替えるだけで簡単に済むため。
シャーシ内部。あまり詰め込んでいる感じは無いがあちこち接触しそうなところには熱収縮チューブを被せたり絶縁テープを貼ったりしている。
アキシャルリードの100uF350V(黒)がでかいが手持ちのを使ったため。ラジアルリードのKMG 100uF350V(茶)と比べてほしい。
画像右下のヒートシンクはFETリプルフィルタ2SK3234の放熱用で、シャーシにネジ止めして放熱させれば良いのだが無い頭をひねってみても良い場所が見つからなかったのでヒートシンクにした。1Wの発熱なのでこんな大きなヒートシンクでなくても良い。
試聴結果はPCL83の素性の良さのためかクリアでハイファイ調、スケール感があり、ニアフィールドで聴く環境には良いアンプとなっている。他のアンプと比べて聴けば何か劣っているところがあると感じるのだろうけど、単体で聴くぶんには十分満足できる。
私より耳の良い!?妻の試聴結果。
・音がまろやかだった
・でも臨場感はしっかりあるし
・バランスは良いと思ったよ
・ちっちゃくてかわいいね