4P1Lパラシングルアンプが完成した。このアンプを製作しようと思った発端はミニオフ会だった。会場は大きな和室で音が抜けるため出力の大きいほうが有利だ。4P1Lシングルアンプの出力1.5Wでは音量を上げられない。そこで4P1Lをパラレルで使い出力アップをめざすことにした。
OPTはすっかり影が薄くなった4P1Sシングルアンプを解体してPMF-6WSを再利用した。電源トランスはLUXの4A40をヤフオクで調達した。+Bの電流が135mAあり十分だ。案外これくらいの現在市販の電源トランスが見つからない。
回路図を上記に示す。アンプ部は基本的に4P1Lシングルアンプを踏襲した。PMF-6WSの2次16Ωに8Ωをつないで7kΩ:16Ωを3.5kΩ:8Ωとして使う。発振防止に4P1Lへグリッド直列抵抗を追加。フィラメント電源にはSBDを使って3端子レギュレータの入力電圧が不足するのを補う。電圧増幅段は半導体によるカスコードエミッタフォロアとなっている。この回路は音色が自分好みのため多くの拙真空管アンプに採用している。
パーツ集めはコロナウィルスによる感染者が増加しておりネット発注することで感染の可能性を下げることにした。4店に発注したのでそれぞれ送料がかかるが仕方ない。アキバへ買い出しするなら3時間程度で回れるのだが。
シャーシと裏蓋はそれぞれゼネラルトランスのSC-100(W300mm×D160mm×H45mm t1.5mm)、SO-100(W300mm×D160mm t1.5mm)を使った。裏蓋が飛び出して見えるのを避けるためフロント側のみ削れば良かったのだが大変なのでヤメタ。
加工は自分で行い、お店に黒のハンマーネット塗装をお願いした。
OPTは角型ケースに入れた。バンド型のトランスをケースに入れるのは冗長な気がするが、OPTを寝かせることで電源トランスとのコア軸の向きを直交させるようにした。
諸特性を上記に示す。周波数特性の高域-3dB点に差があるのはOPTの特性バラツキのため。出力は4W出ており2A3シングルアンプ並みだろうか。残留ノイズは80μVと52μVで低く抑えることができた。DFは5.0あるので必要十分といったところ。詳細な特性はここを参照。
(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、50mV/div(プローブ10:1)、20μS/div)
NFBは6dBかけている。この状態でSP端子に0.047μF〜0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが発振の兆候は見られず安定していたのであえて位相補正容量を入れなかった。拙宅で発振しそうにならないのでOKとした。技術雑誌に発表するわけじゃあるまいしこれで良いのだ。
いろんな角度からブツ撮りをしたので掲載する。電源トランスとOPTのケースの高さがあまり違わないのでひっくり返しても安定している。
チョークコイルが前に出すぎた。シャーシ内に入れても良かったと思う。
シャーシサイドはアクリル板を固定した。はざいやに発注して指定寸法にカット、角丸め、固定用のビス穴及びザグリを入れて頂いた。
電源トランスは自分で塗装したが、トランスを持って持ち上げるとコアの塗装がぽろぽろ剥がれてしまう。もっと剥がれにくい方法があったら採用するのだが。
シャーシ内部。+B電源、アンプ部、フィラメント電源には平ラグを使用し配線でつなぐようにした。ソケット周りには若干CRを配置している。
駄耳の私による試聴結果は、高音が澄んでいて透明感があり、小音量で聴いてもスケールが感じられる。クリアだが真空管アンプにあるようなウォームな音色だ。4P1Lシングルアンプと比較試聴したがニアフィールドで聴く限り差が認められなかった。