手元にあった4P1Lを眺めていたら、ついシングルアンプを製作してみようかなと思ってしまったのであった。3結での最大プレート損失は8Wあるので、軽く使ってミニワッターを製作した。
電圧増幅段は半導体構成とし、4P1Lのグリッドを直結ドライブする。電源部はFETリプルフィルタで残留ノイズの低減を図る。4P1Lのフィラメント電源には3端子レギュレータを使った定電圧電源とした。
回路図を上記に示す。初段は2SK117と2SC4793によるカスコード、2SC4793のエミッタフォロア直結で4P1Lをドライブする。軽いA2級でグリッドをプラスまで振っている。半導体ドライブと直熱管の構成だから電源オン後に2秒程度で音が出てくる。
拙6AH4GTパラシングルアンプでも経験したが、カスコードとエミッタフォロアのトランジスタにhFEの低いものを使えば発振の危険が減るのかもしれない。
諸特性を上記に示す。周波数特性は高域-3dB点が44kHzとあまり伸びていないが、OPTのT-1200の特性そのものであるので問題ない。出力は1.5W〜1.6Wで、1kHzの歪率5%での出力は1.9Wとなった。NFBは6.1dB〜6.2dBの決め打ちだが、聴感が良かったのでこの値で決定した。残留ノイズは30μV〜26μVと低い。詳細な特性はこちら。
シャーシはゼネラルトランスのSC-35でW250mm×D150mm×H40mm、t1.2mm。これには裏蓋を止めるネジ穴が無いのでカレーナットを使った。塗装はダークグレーマイカメタリックとした。
OPTは東栄変成器のT-1200を使うとして、適当なトランスケースが見当たらないので自作することにした。トランスケースは横山テクノにカットして頂いた角パイプでW60mm×D60mm×H60mm、t1.6mmの鋼板製。上下のフタはアルミ板を加工した。製作過程はこちら。 OPTは厚紙を巻いて押し込んだ。
それではいつものようにブツ撮りをしたので掲載。
電源トランスとOPTのトランスケースの高さを揃えたので、ひっくり返しても安定しているしタマがつかえることは無い。
電源トランス前がデッドスペースとなるので小さいチョークコイルを置いた。だから本当はチョークコイルは不要だ。
4P1L周りの放熱穴が大きすぎたが後の祭り。これは真空管の放熱というよりデザインアクセントとするつもりだった。
シャーシ側面にはいつものようにはざいやにカットしてもらったアクリルパネルを貼り付けた。
トランスケースに使った角パイプがすこしいびつなのだが、本格的にやるのならグラインダーを使うしかないと思う。私は電動工具が苦手なので、せいぜい電動ドリル程度にとどめたい。
シャーシ内部。+B電源・フィラメント電源・アンプ部をそれぞれ平ラグで組んでおり、殆どのパーツがそれに乗っている。リプルフィルタのFETと3端子レギュレータはシャーシに止めて放熱している。なお3端子レギュレータは0.9W程度の発熱なので小さいヒートシンクを付けておけばOKだ。
駄耳の私による試聴結果はワイドレンジで繊細、粒立ちが良くスケール感やスピード感があるように思う。べた褒め(笑)だがニアフィールドの試聴だし、自己満足によるバイアスがかかっているので差し引いて考えてほしい。