300Bシングルアンプの詳細な特性を測定した。
無帰還での周波数特性。110kHz付近にちいさな踊り場があるが高域特性は優秀。
NFBをかけることにし、高域が持ち上がらない値を探ったら5〜6kΩとなった。そこで2.7kΩを2本直列にして5.4kΩとした。
現状の回路図を上記に示す。C6は付けていない。
NFB量は4.2dBと中途半端な値になった。高域-3dB点は無帰還での76kHzから130kHzまで伸び、DFは5.3〜5.7となった。残留ノイズは0.13mVと低い。出力は8.0W〜8.2Wで無帰還での値と変わらなかった。
クロストーク特性。20Hz〜20kHzでは-70dB以下となっている。
Lchの歪率特性。3周波数がそろって綺麗なカーブを描いている。
AC100Vの電圧変動に対する300BのIp変動について、赤外線ストーブをオンオフして確認した。結果はAC100Vが1V増加するとIpは約0.4mA増えて正の相関を示した。AC100Vが99V〜103Vで変動するとプレート電流は1.6mA変わる程度なので無問題と判断する。設計での作り込みはこちら。
(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、200mV/div(プローブ10:1)、20μS/div)
SP端子に0.047uF〜0.47uFのコンデンサを接続しダミーロードをオンオフして方形波観測したところ、リンギングが生じるが発振に至ることはなく安定していた。
特性については問題ないことが確認できたので、3階自室へ持ち込んで試聴する。当初はベールを被ったような印象で、穏やかなので聴いていて眠くなった。これはエージングで変わると判断。後日試聴してみると繊細さが出てきた。まるで出力8Wの6DJ8シングルアンプを聴いているよう(製作して聴いたことのある人はわかるでしょう)。300Bは黒子に徹してひたすら6N23Pの音を電力増幅しているようだ。透明感はあるし、雰囲気も良いし音色的には完成レベルかも。
本機は6N23Pの他に6922(E88CC)も差し替えられる。電圧増幅段のタマで音色の変化を楽しめる。300Bのバイアス調整が必要だけど。なお6DJ8はEp maxが130Vなので、カソードフォロア段にプレート電圧を187Vかけているから差し替え不可だ。
消費電力は86Wで結構多い。300Bは330V53mAで17.5Wのプレート損失、フィラメント電力は5V1.5Aで7.5W、1本で25W発熱する。電源トランスも結構発熱するのでシャーシも熱くなる。夏場はニアフィールドでは使えないアンプだ。