おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

7C5 CSPPアンプ・完成

7C5_CSPP_outside9.jpg このアンプは6T9 CSPPアンプを解体し、トランス類を再利用して製作したものだ。 6T9 CSPPアンプは音質的には満足していたが、アンプの佇まいに違和感があった。トランスに比べて真空管の背が低すぎる。それなら手持ちの真空管の中で7C5なら6T9より背が高いしサマになるのではないかと考えた。

 

7C5はヒーター〜カソード間耐圧が90Vと低い。OPTを2kΩとし出力を10Wとすると、カソードはピークで±200Vかかることになる。そこでヒーターをフローティングとし、残留ノイズが低かったら良しと判断することにした。

 

7C5_CSPP_schematic6.gif 回路図を上記に示す。基本的には6T9 CSPPアンプと同じで、初段カスコードの真空管に7N7を使用している。7N7は6SN7GTと同特性なので、ソケットを変更すれば差し替えることができる。

 

+B1には560V50uF×2のブロック電解コンデンサを使用しているが、AC100Vが高くなった場合にかかる電圧が500Vを超えることから、定格電圧が560Vのコンデンサを使用することになった。コンデンサを2個直列にし、それぞれにブリーダー抵抗をつければOKだ。デザイン上電源トランスの前にブロック電解コンデンサを置きたかったのでこうなっている。

 

7C5のスクリーングリッドを反対側のプレートに直結しているが、100Ω程度の抵抗を直列に入れれば電流が測定できるしパラスティック発振対策になって良いと思う。ただ7C5はgmが4100μモーと低めなので、入れなくても大丈夫だろう。

 

7C5_CSPP_characteristic2.gif 諸特性を上記に示す。出力は10W出ており残留ノイズは0.1mV前後と低い。左右チャンネルの残留ノイズの差は7N7によるもので、7N7を左右入れ替えると残留ノイズも逆になる。DFは9あるから十分ではなかろうか。もうすこしNFB量を増やせばDFが10になるが、高域にピークが生じるため位相補正容量を入れる必要が出てくるので見送った。詳細な特性はこちら

 

7C5_CSPP_painting6.jpg シャーシと裏蓋の穴開けは自分で行った。シャーシは(株)奥澤のO-16(W300mm×D200mm×H60mm t1.2mm)で、ゼネラルトランスから購入した。塗装はダークグレーマイカメタリックのマット仕上げ。

 

いつものようにブツ撮りをしたので画像を掲載する。 7C5_CSPP_outside10.jpg 7N7のSYLVANIAの文字が目立つ。7C5のゲッターをギンギラギンのにすればいかにもロクタル管アンプの様相を帯びてくるが、残念ながら手持ちで使えるのは3本しかなかった。

 

7C5_CSPP_outside11.jpg サイドウッドは解体した別のアンプから再利用した。シャーシ高は60mmあって結構腰高なのだが、あまり感じさせないのはサイドウッドのおかげかな。電源のロッカースイッチが中央寄りなのは、内部の平ラグとの干渉を避けるため。結果からいえばシャーシ高が60mmあるので逃げられたはず。

 

7C5_CSPP_outside12.jpg シャーシ前部にスペースがあるのは内部に平ラグを並べたため。

 

7C5_CSPP_outside13.jpg 7C5_CSPP_outside14.jpg 7C5_CSPP_outside15.jpg 7C5_CSPP_outside16.jpg 7C5_CSPP_outside17.jpg 7C5_CSPP_outside18.jpg 7C5_CSPP_inside9.jpg シャーシ内部。シールド線はカナレのGS-4で屈曲性能に優れている。アンプ初段系の平ラグを7N7のソケット上に配置し、+B1電源と-C電源の平ラグをブロック電解コンデンサと電源トランスの間に配置すれば奥行き170mmに収まったかもしれない。

 

配線が済んでからシャーシ内をいじったのはNFB抵抗を取り付けただけで、他は何も変更の必要はなかった。

 

駄耳の私による試聴結果を書いておくと、優雅な響きはCSPPアンプのそれで出力管を選ばない。出力は10Wあるからスケール感も十分。定位も優れている。ただ繊細かつきらびやかな音色ではないので、そういうのを好む人は止めたほうが良いだろう。音色を聞き分けるのではなく音楽に浸りたい人向けだろうか。