おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6B4Gシングルアンプ・3端子レギュレータで点火実験

直熱管のDC点火は、整流後コンデンサを経て電圧供給、ハムバランサを入れるのが普通だ。今回は3端子レギュレータでDC点火し、ハムバランサを省略できないか実験で確かめることにした。

6B4Gのフィラメント定格は6.3V1A。これを3端子レギュレータでDC点火しようとすると、立ち上がりで保護回路が働いて点火できない場合がある。フィラメントの冷間時の抵抗は低いので、電流が多く流れてしまうため。

3端子レギュレータの入出力間電位差を大きく取ると、そのぶん発熱が増える。逆に最小入出力間電位差を割ると出力にリプルが乗ってしまう。

3端子レギュレータにはLDO(Low Drop Out)があり、入出力間電位差が少ないものが存在するが、出力電流は1A止まりでそれ以上のものが見つからない。

今回はLM350Tを使用することにした。LM350Tのデータシートはこちら。これは最大出力電流が3Aとなっている。もし立ち上がりで保護回路が働くのなら、6B4Gのフィラメントに直列抵抗を入れる方法がある。抵抗の電圧降下分、出力電圧を高くする必要がある。

実験回路を上記に示す。電源トランスは東栄変成器のJ-253Wで、0-1.25V-2.5V3Aが2巻線ある。これを2個使って巻線を直列にして7.5Vを供給する。実際は電流容量に余裕があるため、電圧が高めに出るはず。直列に抵抗を入れて3端子レギュレータの入力電圧を変化させる。

整流には40V3AのSBD(ショットキーバリアダイオード)、SB340LSを使った。整流後に10000μFのコンデンサを介してLM350Tに電圧を供給する。

実験風景。入力電圧がAC7.9Vで出力電圧は6.3V、6B4Gを点火できた。保護回路は働かなかった。

抵抗を入れて入力電圧をAC7.7Vに落とす。点火OK、出力にリプルは見られない。

抵抗値を増やして入力電圧をAC7.6Vに落とす。点火OK、出力にリプルは見られない。

さらに抵抗値を増やして入力電圧をAC7.4Vに落とす。出力電圧が下がってリプルが現れた。

この回路では、入力電圧がAC7.6Vあれば6B4Gを点火できることがわかった。

以上まとめると、AC7.9Vでは十分6B4Gを点火できる。AC7.6Vがギリギリで、整流後の入出力間電位差は2.4Vだった。ただこの値にはリプルが含まれるので、実力はもう少し低いと思われる。残留リプルは0.24mVだった。十分低いと思う。

ちなみに室温16℃でLM350Tの温度を放射温度計で測ったら40℃だった。放熱板の容量は不明。SBDを手で触ってみたが、発熱は感じなかった。

 

頭の良い人なら残留ノイズをどの程度なら許容するかから始めて、OPTの変圧比が25:1だから1次側ではこれくらいOKで、それならCRフィルタでできるでしょう、となると思う。でも私は回路の単純さ(3端子レギュレータをTrやFETみたいに考える)とスペースファクタから決めようと思ったわけ。3端子レギュレータをシャーシに取り付けて、整流回路を含め5Pの平ラグで収まるなら十分小さいんじゃないかな。