おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6AR5シングルアンプの出力段を6AU6に変更してみた

依頼品の製作が終わったので、中断していた6AR5シングルアンプの作業を再開する。具体的には出力段6AR5を6AU6に変更すること。6AU6の音色が支配的なのか、あるいは6AR5なのかを確認する。

当初、出力段6AU6のカソード抵抗を330Ωとしたらカソード電流が18mA程度流れ、実効プレート電圧は290Vと完全に規格オーバーだった。なのでカソード抵抗を330+100=430Ωとしてみた。

初段は6AU6の5結としていたが、出力段を6AU6(3結)に変更したところ、利得が70倍もあって多すぎるので、初段を3結とすることで実用的な利得になった。

 

回路図を上記に示す。赤字は実測の電圧。当初ヒーターバイアスは出力段6AU6のカソードから取っていたが、ノイズが出る6AU6が2本あり、+Bから分圧してヒーターバイアスを作るように変更。だが変更後もノイズが出るので結局使えなかった。

+Bの電流が減ったことから電圧が高めになり、電源トランスの120V-0V-120Vのタップから取っていたのを120V-0V-100Vに変更。

6AU6は利得にかなりバラツキがあり、4本の6AU6をとっかえひっかえして左右チャンネルの利得を揃えた。

NFBをかけることにし、6dBとなるR8の値を探ったら750Ωだった。高域に小ピークが見られたので並列に位相補正コンデンサC4を入れた。値は1000pFとした。

諸特性を上記に示す。6AR5シングルアンプに比べ高域が伸びた。NFB後の利得は6.7倍となった。DFは2.4~2.6。

Analog DiscoveryによるLchの周波数特性。

Rchの周波数特性。

Lchの歪率特性。0.1Wで歪率がすでに2%と悪い。出力段6AU6のプレート電流が9mA程度しか流れていないので仕方ない。もっと増やせば良いが最大プレート損失が3.5Wなのであまり増やせない。1kHzにおける歪率5%での出力は0.3Wだった。

Rchの歪率特性。Lchと同様だった。1kHzにおける歪率5%での出力は0.4Wだった。

いずれ出力段6AU6をパラレルにしようと考えているから出力が少ないのは目をつぶるとして、歪率特性を見なければ良かったという感じ。

ともあれ3階の自室で試聴する。女性ボーカルの艷やかな音色、透き通った感じは6AU6が支配的であることがわかった。ただ、6AR5シングルアンプで聴いていると時々ハッとすることがあり、それが6AU6シングルアンプで感じられないのは残念。

もっと6AU6をこき使えば0.5W出るかもしれないし、パラレルにしたら1Wとなるだろうが酷使するのは忍びない気がする。それより6AR5なら1W出るし、メリハリのあるサウンドなのでこっちが好みかな。

 

この6AU6シングルアンプ、ニアフィールドの小出力で聴く限り爽やかな印象で、意外に低音が出る。ただ倍音を聴いて低音が豊かに感じるのかもしれない。

 

デザイン的には背の低いMT管が6本並ぶより、高さの違ったMT管が4本並んでいるほうが変化があって良いかもと考えている。