ことの発端はコレにある。もともとは発振対策に入れたコンデンサなのだが、意外にも音質に影響することがわかった。しかも良いほうへ。
EL32差動プッシュプルアンプは音色が気に入らず、たまたまDEPPにしてみたら良かったので改造してしまったという経緯がある。
もしかしたら全段差動に小容量のコンデンサを入れることで、差動アンプの持つ特徴にDEPPでの艶やかな音色が実現できるのではないか?
生粋の全段差動から変わらない可能性はあるけれど、簡単に改造できるから試してみる価値はあるかもしれない。もしダメだったら元のDEPPに戻せばいいし。
以前改造した時はDEPPに変更した後、動作の最適化を図ってOPTのインピーダンスが16KΩ:8Ωだったのを8KΩ:8Ωに変更したのだった。この変更で周波数特性がより広帯域となった。全段差動に戻してもこの特性を実現できないか?
初期の差動のロードラインを赤線で示す。今回は8KΩの半分である4KΩでロードラインを引く(青線)。最適化するには電流を増やす必要があり、1管あたり26mAとした。
計算上の出力は改造前の2.83Wに対して2.7Wに減ってしまうが、私の環境では出力十分であるし問題ない。
変更後の回路図を上記に示す。EL32の共通カソードに定電流回路と0.01uFのコンデンサが入っている。20KHzにおけるコンデンサのインピーダンスは795.8Ωなので、可聴周波数帯では差動アンプが支配的のはず。
定電流回路の電流は、ダイオードのVtとトランジスタ2SC4793のVbeがほぼ同じになるためツェナーの6.2Vを抵抗で割れば算出できる。6.2V/120Ω=51.7mAで1管あたり25.8mAとなる。
次回は実際の改造を予定。