おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

89Yシングルアンプ・回路設計

試聴した印象はクリアで粒立ちが良く、ボーカルの子音が強調される感じ。高域にピークがあるとか歪率が良くないのでは、と考えて特性を調べたが、特に問題なく89Yが持つ音色だと思われる。低音に量感があるのはDFが低いせいではなく、パラレルフィードの回路によるものかもしれない。

89の後継球は41とあった。ヒーター定格は6.3V0.4Aで同じ。拙42シングルアンプに41を挿してみたことがあったのだが、低音は豊かだが魅力的音質に乏しいという駄耳の私による試聴結果となっている。89と41の音質は異なっているようだ。

先日拙71Aシングルアンプと聴き比べてみたのだが、71Aシングルアンプの音色が中庸と感じるくらい89Yシングルアンプのクリアさが目立つ結果となった。こんな音色の真空管アンプが1台くらいあってもいいんじゃないか。

ロードラインとにらめっこしながら回路設計をする。電圧増幅段はカスコードエミッタフォロアでダイレクトに89Yの第1グリッドをドライブしたい。ところが89Yはカットオフのグリッド電圧がとても低くて-120Vくらい。自己バイアスでグリッドは-38Vくらいなので、マイナス側にピークで82Vのマージンが必要。すると直結ではグリッドがDC90Vくらいの必要があり、実効プレート電圧が低くなってしまう。フルにドライブできなくてもいいから80Vくらいに抑えたい。

電源トランスとOPTは6922パラシングルアンプを解体して流用する。6DJ8系のパラシングルアンプは2台あるので、1台残しておけば良い。電源トランスはPMC-95M、OPTは染谷電子のA57-7K48S(7kΩ:8Ω)を使う。

+Bは140V-0V-140Vタップに6.3Vタップを足してブリッジ整流する。2H100mAのチョークコイルがあるので、π型にLCフィルタを組んでFETリプルフィルタを通す。+Bは358Vくらい。アンプ部の回路は拙71Aシングルアンプを踏襲する。

ロードラインはこんな感じになる。青い点線はここまでグリッドをプラスにドライブできるとした。動作点はEb=232V、Ip=22mA、Eg=-38.3Vとした。本当は電流と電圧をもっと増やしたいが、電源トランスをPMC-95Mとするとこれがギリギリといったところ。

以上の点を踏まえて作成した回路図を上記に示す。データシートではG2とG3をプレートに接続しているが、私は5極管接続(G3はカソードに接続)でのG2をプレートに接続して3結にした。G3をプレートに接続するとカソードから出た電子が全部G3に行っちゃうのではと思ったので。