おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

4P1Lシングルアンプ・空気管?

組み立ての完了した4P1Lシングルアンプ本番機を回路図と突き合わせて接続チェック、問題なさそうなので真空管を挿して動作確認を行う。

各部の電圧を測定すると、RchのC3oが動作していないことがわかった。カソード電圧ゼロ、プレートやG2の電圧が+Bと同じ。触ってみると暖かくなっているが、LchのC3oより温度が高いような気がする。左右チャンネルのC3oを差し替えてみると症状が逆になる。

これは空気管になった時の症状に似ている。ヒーターは点灯しないが発熱するので内部の空気が暖められる。真空じゃないので当然プレート電流は流れない。

試作機では問題なく動作していたのに、急にダメになった。ソケットに差し込む時に固く感じたことはないが、ピン近傍のガラスにクラックが発生し空気が流入したのではないか?

中国製と思われるソケットなので、寸法精度が甘いことが考えられる。なおC3oはガラス球に金属のシールドが被せられているので、ゲッターが白くなっているかどうかはわからない。

というわけで、依頼者様、大変申し訳ありません。

4P1Lシングルアンプ・組み立て(追記あり)

4P1Lシングルアンプ本番機の組み立てを始めた。着手したのは5月15日(水)なのだけど、人様に作って差し上げるアンプだからどうしても慎重になる。とりあえず外装パーツがついた。

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シャーシ内部。この時点では気づかなかったが、ソケットが180度回転しているし、フィラメント電源も同様だ。実体図もどきを見ていたら気がついた。どうもこういうややこしいことは苦手。

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AC100Vの配線から始めた。電源をオンしロッカースイッチのランプが点灯するか、電源トランスの電圧に問題はないか確認。配線は動かないようにセメダインスーパーXで固定した。ボンドが固化するまでマスキングテープを貼っている。

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ソケットとフィラメント電源基板の向きを直した。真空管ソケットへのヒーター配線をする。回路図とソケットのピン番号を合わせているから面倒。但し意味はない。配線を撚っているから収まりが悪い。

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真空管を挿して点灯式。4P1Lの赤熱するフィラメントが見える。4P1Lのフィラメント電圧はDC4.19VとDC4.21V、C3oはAC6.1Vだった。すこし低め。

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+B電源基板に配線を取り付けて結線、+Bに4kΩのダミーロードをつけて電源オンし電圧を確認。+Bは239Vだった。

C3oのカソードCRは立ラグを外して組み立てる。配線も取り付けた。ロクタルソケットのセンターピンをシャーシアースする。これだけで2時間もかかってしまった。

OPTへの配線は、1次側の高圧がかかる端子に熱収縮チューブをかぶせ、アンプを持ち上げてライターの火で炙って縮めた。SP端子は熱容量が大きいのでなかなかハンダが溶けなかった。

ソケットや立ラグへの配線をちまちま行う。疲れるので休みを挟みながらやっているからなかなか進まない。

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入力のシールド線を除き配線が終わったところ。配線忘れはないかな?

 

(2024.05.18追記)
入力のシールド線を作成した。ボリュームからC3oの第1グリッドへはやはりシールド線にした。次は20本のCRを取り付ける。試作機よりシャーシが狭くなったためにハンダゴテが入りにくい。しかもCRを縦横に揃えているからリードの取り回しを工夫する必要がある。

 

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苦心惨憺してとりあえず全部のCR取り付けが終わった。

 

C3oのカソードCR周り。抵抗が電解コンデンサに隠れて見えない。

 

入力のボリューム周り。立ラグがシャーシアースポイント。

 

Lchの4P1Lソケット周り。電解コンデンサを立てると頭がつかえてしまうから寝かせてある。

 

Rchの4P1Lソケット周り。電解コンデンサのマイナス側のリードの長さが足りなかったので継ぎ足してある。いつもは熱収縮チューブを被せて隠すのだが、チューブを切らしてしまいそのまま。GNDなので裸でも構わないのだけど。

 

今後は配線チェックを行い、動作確認をする予定。

トランス式Bluetoothの実験・その2

トランス式BluetoothのLPFを変更して実験を行った。いろんな組み合わせが考えられるが、とりあえず3組だけ。

(1)

LPFを2.2mHと0.0167μF(0.012μF+0.0047μF)の組み合わせとしてみた。インダクタL1はBournsのRLB0812-222JLとした。1kHz・5kHz・10kHzを同じレベルとした時にVR1は564Ω、VR2は1.5kΩとなった。

 

周波数特性。0dBFSでの出力は1kHzで1.71Vだった。前回(1mH+0.039μF)に比べ低域のレベル低下が少なくなった。残留ノイズは0.019mV。

歪率特性。10kHzでの歪率が良くなった。

(2)

LPFを2.7mHと0.01μFの組み合わせとした。インダクタL1はBournsのRLB9012-272KLとした。VR1は1.0kΩ、VR2は1.55kΩとなった。

周波数特性。0dBFSでの出力は1kHzで1.72Vだった。(1)の2.2mH+0.0167μFに比べ、わずかに低域のレベル低下が少なくなった。残留ノイズは0.016mVだった。

 

歪率特性。10kHzの歪率カーブが変だが歪みは一番少ない。オーディオアナライザの30kHzのLPFをオフにしても同様なカーブだった。

(3)

手持ちの多い2.7mHのインダクタと0.012μFのコンデンサの組み合わせとした。1kHz・5kHz・10kHzを同じレベルとした時にVR1は651Ω、VR2は1.88kΩとなった。

周波数特性。0dBFSでの出力は1kHzで1.73Vだった。周波数特性は(2)の2.7mH+0.01μFと同じ。残留ノイズは0.016mVだった。

歪率特性。歪率特性は(2)の2.7mH+0.01μFと同じ。

インダクタにより高域の歪率が変わるが、3種類試した結果はRLB9012-272KLの歪率が一番低かった。周波数特性の高域はどれでも殆ど同じだった。

実験結果から、2.7mH+0.012μFの組み合わせが良いと思われる。

 

(2024.05.16追記)

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ダンボールの上に2チャンネル分を組んで聴いてみた。最初は音量がマッチングトランス無しと同じくらいで低音ばかり出てナンダこりゃ?状態。でも1時間くらい聴いていたら繊細感、音量が出てきたようだ。マッチングトランスやインダクタは、たとえ中古であってもエージングが必要。サウンドとしては合格点を上げられる。駄耳の私なのであくまで暫定。

 

音量についてはWaveGeneでチェックが必要。入力ボリュームの影響は軽微なはずなのだが。スムーズで音量が出ているように感じないのであれば問題ないと思う。

 

WaveGeneで400Hzのサイン波を出し、トランス2次側の電圧をDMMで図ってみたら1.71Vだったので、所定の電圧が出ておりOKだ。

 

トランス式Bluetoothの実験

4P1Lシングルアンプ本番機はシャーシ塗装の乾燥中だ。その間に、気になっていたBluetoothレシーバーの実験をやってみることにする。

 

差動ライン・プリアンプの-Cを抵抗分割から3.9Vツェナーに変更し、Bluetooth基板の電源をつないでみたところ、電源電圧が変動してしまうことがわかった。Bluetoothレシーバー Version2.0のように、絶縁型のDCDCでプリアンプの電源を供給するしかない。それじゃあぺるけさん方式を踏襲することになるんだなあ。

Bluetooth基板と電源を別にすれば解決するが、単にBluetoothレシーバー1号機の出力を差動ライン・プリアンプに入力すればOKだよね?まあそれでもいいが。

そこで、かねてより気になっていたマッチングトランスを使い、昇圧してみようと考えた。トランス式Bluetoothだ。

このBluetooth基板の出力電圧は0.9V。

 

手持ちのマッチングトランスを探してみたら、TAM121115という150Ω:600ΩSPLITのトランスが出てきた。これで実験してみよう。

回路図を上記に示す。LPFは1mHと0.039μFにしてみた。トランスの1次と2次に半固定抵抗を入れ、1kHz・5kHz・10kHzが同じ電圧になるように調整する。VR1は156Ω、VR2は1.7kΩとした。

このトランスの昇圧比は2倍となる。だから理想での出力は1.8V。実際はLPFによる損失、トランスによる損失が発生する。やってみたら1.64Vとなった。目標は2Vだが、600Ω:10kΩのマッチングトランスが必要になる。

周波数特性を測定。Bluetooth基板の電源はPCからUSBで5Vを供給、オーディオアナライザVP-7721Aで測定。PC(Windows11)のソフトはWavegeneを使った。

 

低域でレベルダウンがおきている。WaveGene出力は0dBで20Hzでは-1.8dBだから、そんなに悪い数値ではない。これはBluetooth基板の出力に入っている100μF16Vを増量すれば改善することがわかっている。

歪率特性を測定。おおよそ0.04%~0.2%に収まっている。耳で聴いてわかるかといったら、歪みが検知できないレベル。

 

Bluetooth基板の100μF16Vと並列に、とりあえず470μF25Vの電解コンデンサを並列にしてみた。

 

再び周波数特性を測定。WaveGene出力は0dBで20Hzでは-0.2dBに改善された。

 

再び歪率特性。50Hzの歪率が改善されているのがわかる。

結果としては使えるという感触を得た。今後の予定はLPFを別の組み合わせに変更し、特性を測定してみる予定。

4P1Lシングルアンプ・塗装~磨き

4P1Lシングルアンプ本番機のシャーシと裏蓋の塗装を始めた。シャーシはリューターに付けたペーパーコーンでバリや溶接跡を削った。

私がリューターと呼んでいるのはLeutor、日本精密機械工作株式会社が製造する電動切削工具のことらしい。ルーターと称すると一般的には無線LANだね。ワタシ的にはどうでもいい。

 

浴室にて#400のペーパーで水研ぎをし縦横斜めに傷を付けた。塗装の密着性がよくなるらしいのだが定かではない。ガスレンジで乾燥させた後、カットしたカレンダー紙を貼り付けて準備完了。

塗装に使うスプレー塗料。左から下地にプラサフ、本塗装にミラノレッドR81、上地にクリアA-4。ミラノレッドは依頼者様のご要望。

 

塗装は屋外の駐車スペースで行った。雨が降っていたり風が強いと塗装できない。昨夜から降っていた雨が上がり、路面が乾いたので塗装をすることにした。新聞紙を養生テープで貼り付けた。

塗装はプラサフを2回、本塗装を2回、クリアを3回スプレーした。新聞紙にくっつかないようヨーグルトの容器を下に置いている。

 

今回の塗色は赤なので、ネジの頭も塗装する。ダンボールにキリで穴を開け、ネジを差し込んでスプレーする。

 

30分くらい自然乾燥させた後、赤外線ストーブで1時間あまり高温乾燥させる。クリアは急ぐと気泡ができて失敗するので、とにかくのんびり行う。私はストーブのスイッチを切った後に冷めるのを待って塗装するようにしている。気泡は塗装の揮発成分が抜ける時に発生するので、冷めたほうが出にくいと考えた。

塗装には2日かけた。翌日は強風が吹くという予想なので、前日はクリアの1回目が終わるまで残業した。

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塗装が終わり、カレンダー紙を剥がしたところ。この後に最後の高温乾燥を30分行った。気泡は発生していない。

 

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家じゅうが臭くなるので窓を開けて換気した。数日乾燥させた後、磨きを行う予定。

 

さて、塗装完了から2日半経って塗装も乾いたので磨きを行う。地味だが大変な作業だ。

浴室でコンパウンドシートを使って水研ぎをする。コンパウンドシートはスポンジに#3000のペーパーが貼り付けられているもの。白い削り粉が出ているとちゃんと削れている。

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大体40分くらいやっただろうか。こんな感じになった。ゆず肌は消えていないが妥協。

細目→極細の順に、ウエスコンパウンドを付けて磨く。だいたい磨けたと思ったら液体コンパウンドで仕上げ。クルマ用のコーティング剤を塗って終了。

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磨きが終了したシャーシと裏蓋。まあこんな程度だよ。

今後はフロントの保護紙を作成し、本組立に入る予定。

4P1Lシングルアンプ・仮組み

4P1Lシングルアンプ本番機を仮組みし、パーツの干渉や接近し過ぎているところがないことを確認する。

順調に組み上がったので、真空管を挿して外観チェック。

C3oが前進している。

スピーカー端子がでかいというか、アンプが小さいため相対的に大きく見える。

後ろから。

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シャーシ内部。パーツの干渉や接近し過ぎているところはない。

 

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SP端子周りは空いていて問題ない。

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電源トランスのボルトが長すぎてボックスドライバーが届かないので、ナットレンチで締めるしかない。ボリュームとか初段の立ラグがシャーシの奥にあってやりにくそう。

とりあえず問題ないことを確認した。

 

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本番機の実体図もどきを作成。ソケットを45度回転させたら左チャンネルの4P1L周りのCRがうまく接続できない。カップリングコンデンサ0.33μFはC3oのソケットピンに直付けだが、そんなに温まらないだろうと予想。

4P1Lシングルアンプ・シャーシ加工

全くもって金太郎飴的な記事なのだが備忘録だからね。4P1Lシングルアンプ本番機のシャーシ加工を始めた。

印刷した穴開け図をカットしシャーシに貼り付けて定規とカッターで罫書く。十字の中央をオートポンチでマーキング。ルーペで見てずれていたら斜めにオートポンチを打って中央にくるようにしている。

穴加工は電源トランスの角穴から始めた。ステップドリルでつながった丸穴を2個開け、コッピングソーの刃を通して一周カットする。騒音が出るが、厚さ1mmのアルミなので進みが早い。カットできたら平ヤスリで端面を整えた。

ロッカースイッチとACインレットの角穴は、丸穴を複数開けてヤスリで削る。ACインレットの穴は角Rの仕様なので難しい。4隅を丸ヤスリで開けておき、4辺を削るようにする。ロッカースイッチは13mm×19.2mmにノギスで測りながら開けた。薄いアルミだとつい削りすぎて大きめの穴になってしまう。

サークルカッターで26mm径の丸穴を開けているところ。摺動部のグリスアップを忘れずに。

前後面、側面、上部の大穴が開いた。後はペンで記した小さな丸穴を開けるだけ。

反対側から見たところ。ペンで丸穴を描いているのは、間違った径で穴を開けないため。

穴はドリルの1.5mmでまず開け、2.5mmで広げ、ずれていたら丸ヤスリで修正、3.2mmで広げ、OPTのボルト穴を4.5mmで開けた。4P1Lの放熱穴とOPTの配線穴は、ドリルスタンドのレバーが下がりきった時にステップドリルの6mmで開けられるように調整。これで何も考えずに6mm径の穴が開けられる。

バリ取りが済み、穴開けの終わったシャーシ。

反対側から見たところ。

道具を揃えて省力化をしているにも関わらず、作業を終えると疲労困憊状態になる。それは老化による体力の低下によるもので、1mm厚のアルミなんか穴開け簡単という人は体力があるからだ。歳取った体力のないジジイにはやはり辛い。

4P1Lシングルアンプ・レイアウト設計

4P1Lシングルアンプ本番機のレイアウト設計を始めた。試作機の幅300mmでは大きすぎると思ったので、株式会社奥澤のアルミシャーシ、O-27(W250mm×D150mm×H40mm t1.0mm)でレイアウトを行うことにした。

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当初は実験機のレイアウトをそのまま縮めようとしたのだが、OPTと電源トランスがくっついてしまった。電源トランスを90度回転させれば入ると思うけどデザイン的に嫌。シャーシの両サイドは側面の折りが10mmあり、そこに穴を開けると2枚の間にバリが出て膨らむのでダメ。

 

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OPTを90度回転させることにしてレイアウトし直した。試作機でOPTを回転させてみたが残留ノイズに変化はなかった。電源トランスとC3oの間に電源部の平ラグを置いたのでC3oが前進している。

 

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電源部の平ラグを5P×2で構成することにしてレイアウトを変更してみた。真空管がインラインに並び、立ラグの周りも空いている。

というわけで、C3oの前進案とインライン案で検討を進めている状況だ。なおC3oが4P1Lよりわずかに背が低いので、C3oを前進させても問題ないと思う。

現状の試作機はC3oにヒーターバイアスをかけているが、フローティング及びヒーターをGNDに接続してみても残留ノイズに変化は殆どない。ただ後々真空管を交換することを考えて、保険でヒーターバイアスをかけておいたほうが良いと思う。

4P1Lは3端子レギュレータの出力へ直列に2.4Ωを入れているが、2.4Ωと並列の68Ωを外したところフィラメント電圧は4.19Vと4.23Vだった。これなら68Ωを入れなくても良いだろう。

レイアウト図を印刷し、パーツを並べてみた。これはC3oの前進案。

 

真空管のインライン案。あまり違わないというか、前進案で良い感じ。

 

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穴開け図を作成。4P1Lの放熱穴が一部ソケットのフランジで塞がれていたので、10穴を8穴に変更した。その他、微調整。

 

連休中に穴開け加工をガリゴリやるのは、近所の人も家に居るだろうから気が引ける。コッピングソーを使う15分間だけ我慢してもらうか。

 

4P1Lシングルアンプ・比較試聴

4P1Lシングルアンプ試作機の電圧増幅管をEF42からC3oに戻した。そこで4P1Lシングルアンプ2号機との比較試聴をやってみた。

試聴のやりかたは一方のアンプで数曲聴いた後にもう一方のアンプを聴く。これを繰り返す。どちらも利得はほぼ同じでダンピングファクタも4.4と4.5で誤差の範囲。周波数特性は4P1Lシングルアンプ2号機のほうが高低域が伸びている。

C3oに戻した4P1Lシングルアンプ試作機。試聴は2号機と同じ3結にした。

4P1Lシングルアンプ2号機。

回路的には電圧増幅段が半導体(2号機)と5極管(試作機)、半導体は直結で5極管のほうはカップリングコンデンサを介している。半導体の音と真空管の音を聴き比べていると言っていい。ただOPTが異なるため、違いがわかる良耳をお持ちの方は聴き分けるのだろうね。

私は駄耳なので音の違いを明確に聴き分けることができない。ただ、聴いていて印象の違いを感じることはあった。それは2号機が明瞭な音色なのに対し、試作機のほうは優しい音色といったふう。ただ二重盲検などと大げさなことはできないのは当然だ。

結果的には優劣をつけることができず、両方良いとなった。依頼者様に両方のアンプを聴いて頂くしかない。

アンプ測定治具の改修

これは2011年に製作したアンプ測定治具だ。以来ずっと13年間使い続けてきたが、最近スイッチにチャタリング接触抵抗の増加があるようで、調子がよくない。そのためスイッチを交換することにした。

反対側から見たところ。

もともとトグルスイッチは電源のオンオフを想定しており、信号のオンオフなどの小電流には不向きだ。以前にもスイッチを交換したことがあったのだが、また調子が悪くなってきた。なおロータリースイッチは接点が摺動する際に磨かれるため、トラブルが発生しにくい。

回路はこんなふうになっている。SW1とSW2が今回交換するスイッチ。

交換前の治具の内部。

交換後の内部。

スイッチ部分の拡大。

これでまた5年くらいは使えるかなあ。

4P1Lシングルアンプ・EF42での備忘録

4P1Lシングルアンプ試作機にEF42を使うためにソケットプレートを作成した。なお、EF42はリムロック管でソケットが特殊。当初はソケットプレートをシャーシ内に入れようと思ったが、ネジのナットがどうしても嵌まらずシャーシから外へ出して固定した。

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EF42用の回路に変更し、実測の電圧を赤字で記入した。ほぼ設計どおり。NFB抵抗R9はC3oと同じ2kΩとした。

EF42は外部からの誘導を受けやすく、手を近づけただけで残留ノイズが変化してしまう。そこでアルミホイルでEF42を覆ってシャーシに接地してみた。

諸特性を測定。残留ノイズはRchが0.8mVあってNFBをかけても減らなかった。EF42は利得が多く、NFB量も6.4dB~6.5dBとなった。高域-3dB点の周波数はC3oより伸びて116kHz~119kHz。1kHzでの歪率5%での出力は2.1W~2.2WとC3oと変わらなかった。

Lchの周波数特性。高域が伸びているのはNFB量が増えたため。

Rchの周波数特性。Lchとほぼ同じ。

クロストーク特性。残留ノイズに差があり、曲線が重ならない。20Hz~20kHzでは-61dB以下だった。

 

Lchの歪率特性。残留ノイズが多めのため三日月の形になった。あまり歪みの打ち消しは起きていない。

 

Rchの歪率特性。各周波数の曲線が重なっている。

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[10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div]

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしても発振しないことを確認。

3階自室で試聴。EF42採用の場合、リムロック管のソケットのシールドケースは私には入手困難なので、依頼者様でご用意頂くか、誘導を気にせず聴いて頂くしかない。

アルミホイルを外してスピーカーに耳を近づけてみるとわずかにブーンと鳴っているけどリスニングポジションでは全く聞こえない。

C3oでは音楽を流していて、いいなと感じることがあったのだが、EF42では4P1Lの音色が活かされているようには思えない。女性ボーカルの子音が耳につく乾いたサウンドという印象。3結にしてみたけど印象は変わらず。エージングが必要なのだろうか。単に音に自分の耳が慣れていないせいか。

 

4P1Lシングルアンプ・C3oでの備忘録

回路がほぼフィックスしたので、電圧増幅段をC3oとした時の試作機データを備忘録に残しておくことにした。

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試作機の回路図を上記に示す。赤字はUL接続での実測の電圧を記入した。

今回の回路変更の内訳。FETリプルフィルタの抵抗R10を100kΩから68kΩに変更。これは+B電圧を数V上げて設計に近くなるようにした。また、4P1Lのカソード抵抗R6を720Ωから680Ωに変更。これも同様の理由。さらにNFB抵抗R9を2.2kΩから2kΩにして、UL接続でのNFB量を6dBとした。

試作機を4P1Lの3結とUL接続で交互に試聴したら、私には聴き分けできなかったので、出力の大きいUL接続でいくことにした。音質的には十分に思う。

諸特性を上記に示す。NFB量を6dBとすることで高域-3dB点の周波数は100kHzまで伸びた。1kHzにおける歪率5%での出力は2.1W~2.2W。DFは4.4だった。バラックでは5.0だったが、値が低くなった原因は不明。残留ノイズはRchが多めで0.3mV。

Analog DiscoveryによるLchの周波数特性。

Rchの周波数特性。

クロストーク特性。20Hz~20kHzでは20Hzがリミットして-65dB以下となった。

Lchの歪率特性。最低歪率は1kHzと10kHzが0.06%。

Rchの歪率特性。最低歪率は1kHzと10kHzが0.09%だった。残留ノイズが減れば、Lchと同様になると思われる。

 

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[10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div]

 

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしても発振しないことを確認。


今後はC3oからEF42に替えて特性の測定及び試聴を行う予定。

4P1Lシングルアンプ・動作確認と特性測定

配線チェックを行った後、真空管を挿して電源オン、各部の電圧を確認。全体に低め。簡単に特性をチェックした後にたまたまクロストークを調べたところ、1kHzで-50dBしかない。通常は-70dB弱。周波数によらず他チャンネルへ信号が漏れてしまっているようだ。

これはGNDの共通インピーダンスではなく回路的にクロストークが生じているらしいので、試しに片チャンネルのC3oへの電源にデカップリングを入れたところ改善することがわかった。値は20kΩと10μFとした。

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回路図に実測の電圧を赤字で記入した。電圧は4P1Lの3結で測定している。R15とC14が新たに入れたデカップリング。

Analog DiscoveryによるLchの3結の周波数特性。NFB抵抗は2.2kΩとした。

Rchの3結の周波数特性。

LchのUL接続の周波数特性。3結に比べ利得が増え、高域へ帯域が移動した。160kHz付近に段差が現れた。

RchのUL接続の周波数特性。

3結の諸特性。残留ノイズが測るたびに違うので、まあこんな程度という値。バラックに比べ利得が減ったせいでNFB量も4dB程度になった。

UL接続の諸特性。3結に比べ利得が増え、出力も増えた。DFはすこし低下。

4P1Lのプレート電流を増やし、NFB抵抗をもっと低い値にすれば良いと思う。

3結のクロストーク特性。20Hz~20kHzでは20Hzがリミットして-65dB以下となった。デカップリング容量の値を増やせば改善すると思われるが、電源オフでデカップリング容量から電流が逆流して+Bが下がりにくくなるのが問題となる。

Lchの3結の歪率特性。1kHzと10kHzに少しだけ歪み打ち消しがかかっている。

Rchの3結の歪率特性。歪み打ち消しがかからないと3本の曲線が重なる。

LchのUL接続の歪率特性。1kHzと10kHzに強い歪み打ち消しがかかっている。

RchのUL接続の歪率特性。Lchと同様だった。

特性的には大丈夫そうなので、3階自室で聴いてみた。3結とUL接続の音色の違いは、駄耳の私では聴き分けできそうにない(わからない)。おそらくC3oの音色が支配的なのだろう。スケール感に優れ、キラリと澄み切った高音が感じられる。

ところで、OPTのU-608は1次側の端子が上にあって不用意に触ると感電してしまう。配線も目立つ。端子に熱収縮チューブを被せればいちおう感電しなくなるが、配線しない端子のチューブが抜けるかもしれない。チューブを接着剤でくっつけるか。

4P1Lシングルアンプ・試作機の配線とCR取り付け

外装パーツがついたので、いつものようにAC1次配線から始めた。試作機であるが、本番機と同じようなやりかたで進める。電源トランスの電圧を確認。

ロクタルソケットのセンターピンをアースする。ところがソケットのフランジが導通しないことがわかった。立ラグとフランジの間に菊ワッシャを入れて解決。

フランジは金色に見えるけど塗装なのか?それともアルマイトのようなメッキ?

C3oのヒーター配線、4P1Lのフィラメント配線をする。C3oはヒーター電圧6.1Vと低い。4P1Lは4.20Vと4.23Vだった。

点灯式。とはいっても見えるのはロッカースイッチの点灯だけ。

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シャーシ内部。

+B電源基板に配線して電圧を確認する。ダミー抵抗は4.5kΩとした。+B電圧はAC100V換算で230Vだった。すこし低め。

配線とCR取り付けを行う。CRは本番機で再利用するため、リードをなるべくカットしない。

入力初段の立ラグは、外してCRと配線を取り付けた。同様に出力段カソードCRも外して行った。

目の疲れが半端ないので、すこし作業しては別のことをやっての繰り返し。

チマチマ配線とCR取り付けを進めて、入力のシールド線を除く配線とCR取り付けが完了。

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入力のシールド線はカナレのGS-4を使った。電源トランスから遠いので、こんなにシールドが網で密なものを使わなくても良いのだが、横巻きのシールド線を買ってないしこれにした。

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CRのリードが長いので、触った時にずれて他のに接触しないように注意する必要がある。

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さて、配線チェック後に動作確認を行う予定。

4P1Lシングルアンプ・試作機の組立開始

4P1Lシングルアンプ試作機の組み立てを始めた。試作機のシャーシは解体した6T9 CSPPアンプを再利用する。真空管ソケット穴が4個開いているし、平ラグとOPTの固定穴を追加工するだけで済んだ。

電源トランスは以前作った固定プレートを使ったが、思いがけないところで干渉してナット1個ぶん浮かせてある。本当はシャーシ内にプレートを取り付けようとしたのだが、今度は+B電源部のMOSFETと干渉した。

反対側から見たところ。

 

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シャーシ内部。緑色のスイッチはUL接続と3結の切り替え用。

 

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反対側から見たところ。

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私は頭の中で実体図を描けないので、試作機用の実体図もどきを作成。今回はC3oが先になる。

間違ったり抜けがないといいなあ。入力のボリュームは面倒なので省略した。代わりに51kΩの抵抗を付けることにした。